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ラーガン、今年の設備投資100億元へ


ニュース 電子 作成日:2019年9月4日_記事番号:T00085572

ラーガン、今年の設備投資100億元へ

 スマートフォン用光学レンズ最大手の大立光電(ラーガン・プレシジョン)は、上半期の設備投資額が48億9,000万台湾元(約165億円)と前年同期比48%増加し、昨年通年の76%の水準に達した。主に生産拡大に投じ、今年通年では過去最高の100億元以上となる見通しだ。スマホでトリプルカメラ搭載が主流となり、搭載数や撮影機能がさらに強化される中、好調な受注状況がうかがえる。4日付経済日報が報じた。

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 米アップルが米国時間10日に発表するとみられる「iPhone」新機種は、初めてトリプルカメラを搭載し、レンズ規格も向上すると予想されている。主要サプライヤーのラーガンと玉晶光電(ジニアス・エレクトロニック・オプティカル、GSEO)はフル稼働状態で、8月売上高は前月比2桁増で過去最高更新も期待できそうだ。

 ラーガンは今年初め、28億元以上を投じて、台中工業区(台中市西屯区)で土地2カ所を取得した。早ければ来年に工場着工が見込まれる。

 同社はまた、金型の研究開発(R&D)を強化しており、自社製造比率を高め、規格の向上が著しいハイエンドスマホ用レンズへの対応を進める。スマホ用レンズの要求精度は1マイクロメートル(µm)以内で、今後も高まるとみられ、金型が精度向上の鍵を握るためだ。ラーガン以外は、大部分を他社からの調達に頼っているとされる。

 ジニアスの今年通年の設備投資額予算は、前年比73%増の18億8,200万元と、過去6年で最高だ。主に旧型設備の更新や、新規設備と金型の購入に充てる。上半期の実際の支出額は1億5,000万元と、前年同期の3億6,300万元を下回ったが、下半期に支出が集中しそうだ。

 ジニアスの上半期の研究開発費は売上高の18%と、昨年の14%から増加し、同業の1桁台を上回っている。

準大手は他分野を強化

 一方、▽新鉅科技(ニューマックス・テクノロジー)▽今国光学工業(キンコ・オプティカル)▽先進光電科技(アビリティー・オプトエレクトロニクス・テクノロジー)──などの準大手も設備投資を拡大し、レンズ応用拡大商機に注力している。

 ニューマックスは、ディスプレイ内蔵型指紋認証向けを好感しており、今年の設備投資額は過去最高の約10億元と、前年比60%以上増加する見通しだ。中国・広東省東莞市から台中市の中部科学工業園区(中科)への生産移転を計画しており、1~2年後に新工場が完成する予定だ。関連投資額は27億元以上が見込まれる。

 ノートパソコン向けに注力する先進光電科技は、指紋認証向けの他、車載用を好感しており、上半期の設備投資額は1億800万元と昨年通年の1億1,300万元の水準に迫った。今年通年では過去最高となる見通しだ。

 キンコは、▽スマホ▽車載▽スマートホーム──向けなどの需要を好感し、金型の更新などの設備投資に来年4億元以上を投じる計画だ。過去7年で最高となる。

 同社は、米アマゾン・ドット・コムのスマートスピーカー「Echo(エコー)」のサプライチェーン入りを果たした他、今年は中国発の対話アプリ「微信(ウィーチャット)」の騰訊控股(テンセント・ホールディングス)が推進する、モバイル決済対応の次世代の販売時点情報管理(POS)機器「青蛙」向けのレンズ受注を獲得し、7月から出荷を拡大した。

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