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記事番号:T00085678
2019年9月10日16:10

 蘇貞昌行政院長は10日、台湾高速鉄路(高鉄)の高雄市から屏東県への延伸推進を正式に宣言した。ルートについては、左営駅(高雄市)から、高雄市中心部を経由せずに屏東市までを結ぶ「左営ルート」の採用が有力と語った。同ルートは今年4月、交通部が財務面の問題からフィージビリティスタディー(実行可能性調査)を差し戻したばかりで、実現したとしても収益性が大きな課題となる。聯合報電子版などが同日伝えた。

/date/2019/09/10/00top_2.jpg延伸宣言を行った蘇行政院長。路線計画の早期決定も求めた(10日=中央社)

 蘇行政院長の発言は、将来の高鉄屏東駅の候補地である、屏東市の台湾糖業(台糖)六塊厝農場付近を視察した際のものだ。来年の総統・立法委員選挙に向けて、有権者の歓心を買うことが目的ではないかとの国民党陣営の指摘に対しては「蔡英文総統、行政院長、屏東住民、台湾人をばかにした見方だ」と否定した上で、「一時の選挙のためではなく、台湾の100年の展望のため、台湾の競争力向上のためだ」と述べ、長期的視野に基づいての判断と強調した。

 高鉄の屏東延伸計画では、左営ルートの他、▽燕巣車両基地(高雄市燕巣区)から最短距離で屏東市に入る「燕巣ルート」▽台湾鉄路(台鉄)高雄駅を経由して屏東市方面に向かう「高雄ルート」▽高雄国際空港を経由して台鉄潮州駅(屏東県潮州鎮)付近に向かう「小港潮州ルート」──の四つの候補路線が検討されている。

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 「左営ルート」は、高鉄左営駅から六塊厝農場付近に設置する高鉄屏東駅までの17.5キロメートルで、所要時間は15分(左営駅での停車時間を除く)を見込む。立ち退きを迫られる世帯数が少ないため、予想総経費は554億台湾元(約1,900億円)と4ルートの中で最も低い。このため、蘇行政院長は「有力」と述べたが、最終的には専門家の決定を尊重する考えだ。林佳龍交通部長は、9月末に候補4ルートを評価する第2次審査会議を開くと説明した。

30年内の黒字化困難

 屏東県延伸を巡っては、交通部鉄道局が「左営ルート」と「燕巣ルート」について、共に経済効果に乏しく、完成後30年以内に黒字化できないと評価した経緯がある。「高雄ルート」と「小港潮州ルート」は今年7月に新たに検討対象に加わったもので、フィージビリティスタディーの結果が出るのは来年だ。ただ、有識者の大半は、新2案の建設コストは既存2案を上回り、経済効果は下回るとみている。

1時間1便、効果には疑問

 淡江大学運輸管理学系の張勝雄教授は、「左営ルート」の計画案では1時間1便の運行にとどまると指摘。高鉄を延伸しても屏東市方面への利用客は限られ、▽東港▽林辺▽恒春──方面への接続が改善するわけでもないため、台鉄の乗り換え利便性向上や屏東県内の交通の改善の方がより効果的と指摘した。

【表】

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