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921地震から20年、被災した子供たちは今


ニュース 社会 作成日:2019年9月12日_記事番号:T00085757

921地震から20年、被災した子供たちは今

 死者2,415人を出した1999年の921大地震(中部大地震)から今月21日で20年となる。地震では134人の子供が両親を失い、心に大きな傷を負った。地震20年を機に、心の葛藤と戦いながら成長していった子供たちへの関心が高まっている。

/date/2019/09/12/19kakomi_2.jpg被災地だった南投県埔里鎮の埔里紙教堂では、地震で亡くなった人をしのぶ音楽会が開かれる。作曲家の銭南章さん(左2)が交響曲「蝴蝶」を発表する(中央社)

 恵まれない子供たちのための活動を行う児童福利聯盟文教基金会(児福聯盟)は、台北市で開催中の写真展「九二一重建20年生命特展」で、被災した子供たちのその後の成長の足跡をたどっている。

 当時7歳だった小静さんは、三世代同居の大家族で暮らしていたが、一夜にして祖父、祖母、父、母、おば、兄の全員を失った。なぜ、両親と一緒に死ねなかったのかと悔やみ、その後、別のおばの家で育てられたが、おばが自分の子供ばかりかわいがると疎外感を感じたり、反抗期には自殺を考えたりと複雑な心の過程をたどった。

 しかし、それでも生きなければならないと、現実を受け入れるよう自分に言い聞かせた。進学後は「生命教育」のボランティアを務め、自分が経験したことをカリキュラムに加えてもらうことで、教師たちが心に大きな傷を負った子供たちの考え方を理解するのに協力した。やがて、育ててくれたおばが自分への善意の気持ちにあふれていたことにも気が付いた。

 写真展は台北市の中山地下街で9月30日まで、台中市の中友百貨で9月18日から10月16日まで開かれる。

 地震の後の2005年、被災地の南投県では、子供たちに傷ついた心を読書で癒やしてもらおうと、教師たちが「愛の書庫」を虎山国民小学に設置。同文庫はその後台湾全土303カ所に広がり、子供たちの心のよりどころとなるとともに、台湾の読書教育に大きな影響を与えたとされる。病気で亡くなった際に「愛の書庫」に蔵書を送った小学校教師の女性の話など、文庫にまつわる14の物語を自由時報の記者がまとめた新書が11日に発表された。

 地震から20年を迎える来週21日当日の午前9時21分に、交通部中央気象局は地震訓練のショートメッセージを発信する。20年の節目で、大切だった家族を思い出し、しっかり生きようと気持ちを新たにする、かつての子供たちもいることだろう。