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紫光がDRAM人材争奪戦、台湾に危機感


ニュース 電子 作成日:2019年9月16日_記事番号:T00085763

紫光がDRAM人材争奪戦、台湾に危機感

 先日DRAM分野への進出を発表した中国の国有半導体大手、紫光集団が、台湾や日本、韓国で研究開発(R&D)人材の引き抜きを強化している。台湾最大手の南亜科技(ナンヤ・テクノロジー)からも既に複数の人材が同社に流出したとみられ、台湾業界は危機感を強めている。16日付経済日報が報じた。

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 関係者によると紫光集団は、DRAMの世界三大手、サムスン電子、SKハイニックス、マイクロン・テクノロジーからライセンス授権を拒まれた他、米中貿易戦争により中国で独自に技術開発を進める必要性が高まったことを受けて自主開発を決めた。今後10年で8,000億人民元(約12兆円)を投じる計画だ。1年当たりの投資額は平均800億人民元で、DRAM業界で最大の投資となり、世界市場を変動させることが見込まれる。

 かつて南亜科技の総経理などを歴任し「台湾DRAMの父」と呼ばれた高啓全・紫光集団DRAM事業群執行長は、人材獲得が最大課題と明言した。研究開発チームを現在立ち上げており、5~10年で成果を出すと表明。ただ、陣容や投資額については明かさなかった。最近は台湾、日本、韓国などを訪れ、人材引き抜きに奔走しているとみられる。マイクロンに買収された、エルピーダメモリの元社員にも積極的に接触しているようだ。

 業界関係者によると、紫光集団は優秀な人材を確保し、開発期間を短縮するため、台湾での数倍に上る報酬など破格の待遇を提示している。

21年にもDRAM生産

 紫光集団は8月末、重慶市にDRAMの12インチウエハー工場を設置すると発表した。今年末に着工し、2021年に稼働する予定だ。DRAM事業群本部や、研究開発センターなども同市に設置する。

 南亜科技や市場調査会社の集邦科技(トレンドフォース)などは、紫光集団は傘下のIC設計メーカー、紫光国芯微電子が既にDRAM関連製品の研究開発能力を有していると指摘。一方、製造プロセスの自主開発には3~5年かかるとみられるため、21年の同工場の稼働時には少量生産にとどまると分析した。

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