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郭台銘氏、総統選不出馬を表明


ニュース 政治 作成日:2019年9月17日_記事番号:T00085790

郭台銘氏、総統選不出馬を表明

 鴻海精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)前董事長は16日夜、来年1月の総統選挙への出馬を断念する声明を発表した。連携する台北市長の柯文哲氏(台湾民衆党)も出馬しないため、第三勢力が二大政党に取って代わる可能性は消滅した。総統選は今回もまた、現職の蔡英文氏(民進党)と高雄市長の韓国瑜氏(国民党)による、二大政党の事実上の一騎打ちで繰り広げられることとなった。17日付蘋果日報などが報じた。

/date/2019/09/17/00gou_2.jpg郭氏は、中華民国のために自身の経験と人脈を生かそうと挑んだが、政治的茶番に巻き込まれるつもりはないとビデオメッセージを寄せた(郭氏フェイスブックより)

 国民党を離党して無所属となった郭氏は、きょう17日が中央選挙委員会(中選会)への出馬のための署名活動の届け出期限で、直前での立候補断念表明となった。

 郭氏は「失望させた」と支持者に謝罪した上で、再三考え抜いた末、理性的な思考と政策面での討論に立ち返り、指導者を選んでもらいたいと考えたと、不出馬を決めた理由を説明した。一方、「誰からの説得や影響も受けていない」として、外部の干渉はなかったと強調。自らは「永遠の中華民国派で、必要とされるときはいつでもそこにいる」と、政界進出には含みを残した。

 聯合報によると、中秋節(旧暦8月15日、今年は9月13日)連休前の陣営の会議では、出馬を巡り側近の意見が割れ、郭氏本人に決断を委ねた。蘋果日報は、郝龍斌副主席など国民党陣営の説得があったと報じた。離党後、国民党内であえて郭氏支持に回ろうという人物がほとんどいなかったこと、連携する王金平前立法院長の地方での動員がやや困難になったこと、柯氏は人気はあっても配下の人物が少ないことなどの要因が決め手になったとした。

柯氏は立法委員選に注力

 柯氏は17日、郭氏の決定を尊重するとした上で、自身の出馬についても「言及したことがない」と否定した。副総統候補の人選などを考えると時間的余裕もないため、唯一できるのは、自身の主導で先月結党した台湾民衆党による、立法院での議席獲得に注力することと説明。国民党と民進党の二大政党の過半数議席獲得を阻止することを目標に掲げた。郭氏陣営も、スポークスパーソンを務めている蔡沁瑜氏らが選挙区での立候補を目指すようだ。

韓氏にプラス効果

 一方、郭氏が出馬すれば票が割れる懸念があった国民党の韓氏は15日、前新北市長の朱立倫氏(国民党)と1時間以上にわたり会談した。朱氏は韓氏とペアを組む副総統候補として有望視されている。

 国民党は、混乱に幕が下りたとして、郭氏の決断を評価した。郭氏への票の流出が抑えられるため、韓氏にとって有利となる。