ニュース 電子 作成日:2019年9月23日_記事番号:T00085888
23日付経済日報などによると、ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は、来年3月に量産を予定する5ナノメートル製造プロセスで、主要顧客5社から受注を獲得したもようだ。これを受けて月産能力を7万枚へと約4割拡大させる予定で、7ナノに続き、5ナノでもファウンドリー事業の強化を進めるサムスン電子を大きく引き離すことが確実視される。
TSMCが5ナノで受注したとされる5社は、▽アップル▽アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)▽ザイリンクス▽華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)傘下のIC設計、深圳市海思半導体(ハイシリコン・テクノロジーズ)▽中国の仮想通貨の採掘(マイニング)機器最大手、比特大陸科技控股(ビットメイン・テクノロジーズ・ホールディング)──。TSMCは受注状況を明らかにしていない。
サプライチェーン関係者は、ファーウェイの第5世代移動通信(5G)対応基地局とスマートフォンの出荷拡大により、ハイシリコンはTSMCと5ナノでの協力を強化していると指摘。この他、ザイリンクスは人工知能(AI)用特定用途向けIC(ASIC)で注目されるフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)チップで、ビットメインはAI向けで、それぞれ5ナノの採用を決めたとされる。
各国で相次ぐ5Gインフラ整備、AI、高性能計算(ハイパフォーマンスコンピューティング、HPC)向けで、顧客はTSMCの7ナノを採用しており、今後5ナノへの移行が加速する見通しだ。
TSMCの劉徳音(マーク・リュウ)董事長は、先週開かれた国際半導体展(セミコン台湾)で、来年は急速拡大の1年になると発言。5ナノは研究開発(R&D)が終了し、量産準備段階に入っていると明らかにしていた。同社は、5ナノの生産能力を必要時にさらに8万枚へ拡大する方針とされ、南部科学工業園区(南科)Fab18のP3工場が拡大拠点となるようだ。
クアルコムの受注回帰か
一方、市場観測によると、極端紫外線(EUV)リソグラフィー技術採用の7ナノでの生産をサムスンに委託したクアルコムは、歩留まり率が思わしくないため、5ナノではTSMCへの委託に回帰するとの見方が出ている。
クアルコムは今年8月、サムスンに生産委託した5G対応チップ「スナップドラゴンSDM7250」で、全数廃棄が発生したとされる。ただ、クアルコムとサムスンはこの観測を否定した。
業界関係者は、7ナノEUVでの歩留まり率は、TSMCの70%に対しサムスンはその半分以下にすぎず、5ナノではTSMCが技術的優位により受注を取り戻すとの見方を示した。
TSMCは現在、7ナノ、7ナノプラスの他、12ナノ、16ナノでもフル稼働状態とされ、サムスンが製造トラブルに直面したとされる中、一人勝ちの状態だ。5ナノで顧客を確保した上で、今後、3ナノ、2ナノへとさらなる微細化の研究開発にまい進する構えだ。
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