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台湾パネル大手2社、通年赤字100億元も


ニュース 電子 作成日:2019年9月25日_記事番号:T00085949

台湾パネル大手2社、通年赤字100億元も

 9月のテレビ用パネル価格が3~8%下落し、過去最低水準となった中、証券会社によると、台湾大手の群創光電(イノラックス)と友達光電(AUO)は、第3四半期も年初来の赤字が拡大する見通しで、通年の赤字額はそれぞれ100億台湾元(約345億円)を超える恐れがある。2013年以降で最悪との見方だ。25日付経済日報などが報じた。

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 テレビ用大型パネル価格は、テレビメーカーの在庫水準が高まっている他、需要不振を受けてサムスンや中国ブランドが需要期の第4四半期見通しを慎重視しており、9月も下落が続いた。主力の55インチパネルのオファー価格は102米ドルと6%(7米ドル)下落、43インチは8%(6米ドル)下落、32インチは3%(1米ドル)下落した。過去4カ月の下落幅は、20~25%に達している。

 市場調査会社のIHSマークイットの謝勤益(デビッド・シェイ)シニアディレクターは24日、▽韓国▽日本▽台湾▽中国──のパネルメーカーは設備利用率向上の努力を続けているが、需要が予測を下回ったと指摘した。中国での第8.5世代以上の新工場の相次ぐ新設で、大型パネル価格の大幅引き下げを迫られた状況の再現は阻止したい構えだ。

 イノラックスの上半期純損失は66億9,500万元、AUOは63億7,000万元だった。イノラックスは3四半期連続、AUOは2四半期連続の赤字だ。

 パネル産業への逆風を受け、各社は先進技術の導入によってコスト削減に注力する方針だ。IHSマークイットは、韓国パネルメーカーは今年から21年にかけて第7世代、8.5世代工場を再編すると指摘した。

韓国勢、有機ELに転換

 韓国メディアは24日、業界関係者の話として、サムスンディスプレイ(SDC)が13兆ウォン(約1兆1,700億円)を投じて、忠清南道牙山(アサン)工場の液晶パネル生産ラインを量子ドット有機EL(QD-OLED)ラインに転換する計画を、来月中旬にも発表すると伝えた。日経アジアンレビューは、サムスンの液晶パネル生産削減見通しは、ガラス基板投入ベースで月間12万枚と、同社生産能力の3分の1を占めるとのアナリストの見方を伝えた。

 LGディスプレイ(LGD)は、中国・広東省広州市の第8.5世代有機EL(OLED)工場が量産入りしたのに伴い、第4四半期から液晶パネル生産を削減する。第8.5世代工場では月間14万枚、第7.5世代工場では月間10万5,000枚削減するとされ、削減幅は5割以上に達するとみられている。

中小型は好調

 一方、中小型液晶パネルメーカーの瀚宇彩晶(ハンスター・ディスプレイ)や凌巨科技(ジャイアントプラス・テクノロジー)は、操業を停止した中華映管(CPT)からの転注や、利益率の高い車載用や産業用が好調で、需要期を比較的楽観視できそうだ。

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