ニュース 運輸 作成日:2019年9月30日_記事番号:T00086047
交通部は27日、台湾高速鉄路(高鉄)の左営駅(高雄市)から屏東県への延伸計画で、高雄市中心部を経由せずに同県屏東市までを結ぶ「左営ルート」の採用を審議会で決定した。2029年末までの完成を目指す。台北~屏東が最速1時間49分で結ばれることになり、北部や中部との往来が活発化しそうだ。28日付経済日報などが報じた。
「左営ルート」は、高鉄左営駅で進行方向を変え、屏東市街地西側の台湾鉄路(台鉄)六塊厝駅付近に新設する高鉄屏東駅までの17.5キロメートルを結ぶ。所要時間は約10分だが、左営駅で運転士の移動に5分を見込む。
交通部の黄玉霖政務次長(次官)は、全土と地域の発展と経済効果を踏まえた上で、候補だった四つのルートで費用が最も安い「左営ルート」に決定したと説明した。建設費用は554億台湾元(約1,900億円)で、車両購入費用を含めると619億元となる。10月中にも行政院が承認し、総合計画を策定。高鉄運営会社と、運営方式や車両購入費用の負担割合などを協議する。
蘇貞昌行政院長は、市街地での掘削の必要がなく市内交通への影響が少ない他、既存の高鉄路線の減便も必要ないと、「左営ルート」の長所を指摘した。
18分短縮に500億元?
屏東延伸を巡っては、554億元を投じながら新駅の1日当たり利用者は多くても3,900人増えるだけで、台鉄乗り換えと比較した時間短縮は18分にすぎず、財務面の問題で今年4月にフィージビリティースタディー(実行可能性調査)が差し戻されていた。計画運行本数は1時間1本の予定で、高鉄屏東駅から屏東市街地や屏東県潮州鎮方面は台鉄への乗り換えが必要なため、屏東居住者にとっても実質的なメリットは小さいとの声もある。
また、台鉄高雄駅など高雄市中心部を通過するルートが却下されたことで、高雄市中心部に向かうには高鉄左営駅で台鉄や都市交通システム(MRT)への乗り換えが必要な状況は変わらない。高雄市政府は、高雄市中心部に乗り入れてこそ経済効果があるとして、中央政府に再考を含めた慎重な審査を求める構えだ。
台湾鉄道・国土規画学会は、屏東延伸で路線全体の利用効率が落ちる他、赤字ルートとなれば、高鉄全体の早期割り引きの縮小も考えられ、他地域の市民にとっては不利益になる恐れがあると指摘した。
潮州延伸に含み
黄政務次長は、屏東市から潮州鎮方面へのさらなる延伸について、将来必要になれば評価を行う考えを示した。高鉄または「快鉄(快速鉄路)」方式での延伸議論を進める。快鉄は、在来線の台鉄の既存路線を利用する高速化を指しており、設計速度は時速180キロ、平野部の営業速度は160キロを想定する。高鉄の台鉄乗り入れでの直通運転も構想に含まれる。
交通部は、「西部は高鉄、東部は快鉄」で全土の鉄道網高速化を進めることを打ち出している。黄政務次長は、左営駅から屏東への延伸後、快鉄で台東まで1時間30分で結ばれると説明した。また、同方式で台北から花蓮は1時間20分以下、台北から台東までは2時間20分以下に短縮されると期待を示した。
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