中台間の週末直航チャーター便の運航が、4日スタートした。午前8時6分に広州発の中国南方航空機が桃園国際空港に着陸したのをはじめ、きょうから来台が開放された中国人の団体ツアー客を乗せた中国側の計9便が台湾に到着し、盛大な歓迎を受けた。台湾側も9便を運航した。週末のみの運航で、香港航空管制区経由の迂回(うかい)ルート、運賃も香港経由便より高いなど利便性は完全ではないものの、直航便の定期的な運航実現は中台間の交流活性化に大きく弾みをつけるとみられる。
松山空港に到着した廈門航空機。機長が窓から手を振って歓迎に応えた(4日=中央社)
「両岸の近さに感動」
台北市の松山空港では午前8時40分、ツアー客114人を乗せたアモイ発の廈門航空機が到着、台湾側は消防車による放水で歓迎した。松山空港が域外便を受け入れたのは三十数年ぶり。廈門航空便に同乗した郭恒明アモイ市旅遊局長は、「(香港・マカオ経由で)8時間かかっていた旅程が80分に縮まった。両岸(中台)はこうも近い。感動した」と語った。また、同機のフライトアテンダント、陳暁玲さんらは「昨晩はうれしくて眠れなかった」と興奮を語った。空港ロビーでは、ツアー客を歓迎する獅子舞や先住民族の踊りが披露された。
午前10時26分には南京発の中国東方航空機も松山空港に到着。呉伯雄国民党主席が、同機に同乗した邵琪偉・中国国家旅遊局長を出迎え、一緒に記念のテープカットを行った。
中部4県市、首長が初訪中
台湾発の便では、9時20分台中・清泉崗空港発アモイ行きの華信航空(マンダリン・エアラインズ)機に、胡志強台中市長、黄仲生台中県長、卓伯源彰化県長、陳志清南投副県長の、中部4県市の4首長が同乗した。観光宣伝と視察が目的で、胡市長は「大陸でショーを繰り広げる。中部台湾の存在を知らしめなければならない」と語った。県市長の中国訪問は前日3日に行政院会(閣議)で決定したばかりで、4人は台湾本土の県市の首長としては初の中国訪問となった。
台湾人の利用者が約9割
4日のチャーター便で台湾を訪れた中国人ツアー客は、交通部観光局の統計によると計26団体672人。4日付自由時報によると、7日まで運航される今回の第1期では、計18便の利用客の9割近くが旅行やビジネスで中国を訪れる台湾人だ。
チャーター便は全て香港航空管制区を経由するため最短の直線ルートを飛行せず、台北~上海で運賃は1万6,000~1万7,000台湾元(約5万6,100~5万9,600円)と、香港・マカオ経由より2,000~3,000元高い。ただし、所要時間は従来の約半分の3時間以下となる。
経済効果に疑問も
中国人観光客が台湾観光業界にもたらす商機について毛治国交通部長は、「1日当たり1,000人、8~10日の台湾滞在中、1人が1日8,000~9,000元を消費するとして、通年で100億~200億規模」という予測を語っている。しかし、チャーター便が本当に台湾経済にプラス効果をもたらすか否かについては、「観察が必要」とした。
4日付蘋果日報が、「大陸観光客は台湾経済にとって切り札となると思うか」というテーマで市民に電話アンケート(サンプル数514件)を行ったところ、「大陸人はけちなので全くもうけにならない」(46.31%)が、「大陸は人口が多いのでもうけが期待できる」(24.51%)を2倍近く上回っており、親国民党メディアの報道とはうらはらに、経済効果についてはさめた眼で見られていることが分かる。