ニュース 社会 作成日:2019年10月4日_記事番号:T00086174
3日午前1時すぎ、台中市の紙器工場で火災が発生し、指示を受けて建物内に突入した消防隊員2人が炎に巻かれて死亡した。当時、建物内には取り残された従業員などはおらず、突入指示が果たして妥当だったのか疑問の声が上がっている。
火災は夜が明けても収まらず、消し止められたのはおよそ10時間後だった(3日=中央社)
火災が発生したのは台中市大雅区の紙器メーカー、台湾百慕達紙器廠の工場と群峪の物流センターで、台中市政府消防局の記録によると、消防隊が同日午前2時11分に現場に到着した際、指揮に当たった第1大隊の黄耀星組長は、建物内に人は残っていないとの説明を受け、部下に延焼を食い止めるよう指示した。
その後、物流センターを担当した西屯分隊の周正斌小隊長は、2時50分に建物内から煙が出ているのを発見し、2人の隊員に熱画像直視装置を携帯して建物内に入り、火元を探すよう命じた。
しかし2人が突入した約10分後、建物内はまたたく間に大きな炎と濃い煙に包まれ、周小隊長は無線で撤退を呼び掛けたが、返事は帰ってこなかった。火の勢いが激しかったため救援チームも中に入れず、結局5時間後に他の隊員が中へ入った時には手遅れだった。
亡くなった消防隊員は謝志雄さん(33)と張哲嘉さん(32)。謝さんは約3年前に結婚し、2歳の子供を持つ他、妻は現在、妊娠7カ月で双子を身ごもっている。一方、張さんは独身だが、付き合って10カ月余りの恋人との結婚を考えており、昨年末、台中市内に2人のための住宅を購入したばかりだった。
なお今回火災に遭った工場は、本来農地として登録されている土地に建てられた急造のトタン張り建築だった。台中ではこうした違法工場を建設、貸与して利益を得る行為がまん延しているが、いったん火災が起きれば火の回りが早い上、すぐに倒壊すると懸念されていた。
取り残された者もいない危険な建物に隊員を突入させたことについて黄組長は、当時、火の手が倉庫に拡大する懸念があったため、これを食い止めるべく火元を探すよう命じたと説明した。しかし元消防隊員からも「隊員を突入させるべきではなかった」との批判の声が上がっている。
2人の殉職を受けて消防隊員の権利保護団体は、「危険性が高い火災現場で、かつ人が取り残されていない場合は、内部に入ることを拒否できるよう消防法を改正すべき」と呼び掛けた。
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