ニュース 社会 作成日:2019年10月8日_記事番号:T00086246
かつて魚介類が豊富に取れた新竹県新豊海岸周辺では30年ほど前、大量の有害廃棄物が不法投棄された。その影響で周辺海域が重金属に汚染され、魚介類の成長に異常が起きていることが約10年前に判明したが、廃棄物はその後も放置されてきた。「台湾で最も汚染された海岸」として知られるようになってようやく、県政府が撤去に着手したものの、現在も依然終わっておらず、海は汚され続けている。
新豊海岸にはかつて簡単な埠頭(ふとう)が設置され、地引き網漁などが行われていた。近くに住む曽福さん(56)によると、最盛期には1,000世帯以上が漁業に従事していた。曽さんも幼いころに父親と一緒に浜辺でハマグリを掘ったり、岩に付いたカキを採ったり、小魚を捕まえたりした。
しかし1987年、深夜に無数のトラックが出入りすることが数カ月続いた。運転手はあまり友好的ではなく、住民たちは何をしているのか聞くことができなかったという。
しばらくたって、海岸からカキが消え、ハマグリも徐々に姿を消していった他、カニの色が茶色になるなどの異常が頻発し、漁業をやめる住民が増えていった。
20年が経過した2010年、研究者が新豊海岸を調査したところ、海岸線沿いの土壌が約3キロメートルにわたり重金属に汚染され、魚介類の成長に異常を引き起こしていることが判明。しかし中央政府、地方自治体とも放置し続けたため、陳情を受けた林淑芬立法委員(民進党)が17年にメディアを通じて告発。同海岸は「最も汚染された海岸」として台湾全土に知られるようになった。
政府はようやく重い腰を上げ、18年9月に行政院環境保護署(環保署)が新竹県政府に補助金を支給。今年9月に1回目となる約5,000トンの撤去作業が行われた。今後2回目の作業が進められ、来年1月に撤去が完了する予定だ。
蘋果日報の調査によると、現地の土壌からは基準の約100倍に当たる亜鉛、5倍以上の鉛と銅が検出された。専門家の調査では、海藻類を繁殖させる目的で近くに設置されたコンクリートブロックに降り積もった塵灰(じんかい)から、正常値を上回る濃度の▽ヒ素▽カドミウム▽クロム▽銅▽ニッケル▽鉛▽亜鉛──が検出されており、現在も深刻な海洋汚染が続いている状況が明らかとなった。
新豊海岸からわずか約500メートル先には、今も大勢の海水浴客でにぎわう新月沙湾があり、健康被害も懸念される。一刻も早い撤去が待たれる。
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