ニュース 社会 作成日:2019年10月9日_記事番号:T00086276
心肺蘇生法(CPR)の普及活動に長年取り組む亜洲復甦聯合会の王宗倫主席は、台湾における院外心停止(OHCA)患者の救命率は22%にすぎず、米シアトルの63%に比べ大幅に低いと指摘した。患者に遭遇した際、CPRのやり方を知っていても実行する人が少ないことが原因と考えられている。
王主席によると、人間が心停止に陥った場合、血液の循環が止まり、わずか10分で脳死に至る。このためOHCA患者の救命率を高めるためにはCPRを行える市民を増やす必要がある。
衛生福利部(衛福部)医事司の石崇良司長は、20年前から高校の授業にCPR学習を取り入れており、多くの市民がやり方を学んだことがあるはずで、OHCA患者の救命率が低いのは、CPR教育が普及していないためでなく、学んだ市民が実行したがらないためと分析した。
台北市政府衛生局は、市民がCPRをやりたがらない理由として、経験がなく、自信がない他に、▽失敗したときの責任が心配▽マウス・ツー・マウスで息を吹き込むことに抵抗がある──ことを挙げ、CPRを行った者に責任は問われないと法律で定められている上、既にマウス・ツー・マウス方式はCPRから排除されていると説明した。
各県市の消防局は慣れない市民でも安心してCPRが実施できるよう、専門家が電話を使って助言を行う制度を始めた。この制度では、OHCA患者が発生したとの通報を受けた際、救急車を手配すると同時に、通報者に患者の呼吸や意識の有無を確認させた後、携帯電話のハンズフリー通話を開始するよう指示。携帯電話のスピーカーを通じて、通報者が安心してCPRを実施できるよう手順を細かくアドバイスするとともに、「もうすぐ救急車が到着します」などと落ち着かせるための声掛けを行う。
OHCA患者の救命措置は、CPRと自動体外式除細動器(AED)の使用を組み合わせるのが望ましい。台湾では、学校やホテルなどの宿泊施設、観光地などにAEDの設置が義務付けられている。AEDは各地に478台設置されているが、使用率はわずか1.9%にとどまり、ただのオブジェと化しているとの指摘もある。
せっかく学んだ人の命を助けることができる知識や技術は、生かせるようにしたいものだ。
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