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桃園空港で地上事故頻発、深刻な混雑背景


ニュース 社会 作成日:2019年10月14日_記事番号:T00086309

桃園空港で地上事故頻発、深刻な混雑背景

 桃園国際空港では今年、航空機が設備と衝突するなど地上での事故が8件発生している。これは国際的な基準に基づく発生頻度を上回っており、その要因として同空港におけるエプロン(駐機場)の収容能力不足が指摘されている。

 国際的な基準に基づくと、空港では発着する航空機延べ10万機に対し、2件の頻度で地上での事故が発生するとされる。桃園空港の場合、1年間の利用機の数は延べ約25万6,000機で、年間の事故発生件数は5件程度となるはずだ。

 しかし同空港では、先週も6日に地上業務を担当する桃園航勤公司の作業員が日本航空(JAL)の旅客機をけん引していた際に操作ミスでエンジンカウルをボーディング・ブリッジにぶつけ、破損させる事故が発生。さらに2日後にはエミレーツ航空の機体をけん引しようとして前輪のタイヤを傷付けるなど、今年既に8件の事故が起きている。

 桃園空港で今年発生した事故の大部分は人為的なミスや機械の故障が原因だ。しかし、同空港では離着陸する航空機の数が増加の一途をたどっているにもかかわらず、エプロンの収容能力は滑走路の修繕作業などによって逆に低下しており、その結果、駐機スペース1カ所当たりの回転率が上昇。地上での作業時間が短くなっていることがミスや事故の増加につながっているとの指摘が出ている。

 実際、桃園空港では2014年に延べ572回だった1日の離着陸数が昨年は701回、さらに今年は1~8月は730回に達している。このため駐機エリア1カ所当たりの1日の利用機体数は現在12機と、適正とされる8機を大きく上回っている。なお成田空港の同数値は6機、香港国際空港は7.5機となっており、桃園空港の混雑具合が見て取れる。

 また収容能力不足から、フライトスケジュールの前倒しや遅延などにより、本来利用するはずだったスペースから別のスペースに急きょ変更されるケースも、従来の1日当たり30件程度から今年は150~180件まで大きく増加しており、作業員の忙しさに拍車がかかっている。

 こうした状況を受けて交通部は、厳密な事故調査の実施、罰則強化、標準作業手順(SOP)の見直し、設備や設計上の問題点の洗い出しなど、徹底した改善を進めるとの方針を示した。