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作成日:2008年7月7日_記事番号:T00008631
TVBS経営権、中国資本が間接取得か
香港のテレビ局TVBを傘下に持つメディア大手邵氏兄弟(ショウ・ブラザーズ)の株式75%が創業者の邵逸夫(ランラン・ショウ)主席一族から中国の不動産実業家の楊国強氏に譲渡される見通しとなり、TVBの傘下にある台湾のテレビ局TVBSの経営権を中国資本が事実上掌握することが確実となった。5日付経済日報が伝えた。
邵逸夫氏は今年5月の時点でTVB株の売却意向を表明。香港紙報道によれば、楊国強氏は銀行から取得資金として125億~130億香港ドル(約1,713億~1,781億円)を調達しており、一両日中にも合意に達する見通しだ。邵氏兄弟はTVBの株式26%を保有しており、楊国強氏はTVBの経営権を実質的に掌握することになる。楊国強氏は中国広東省を拠点とする不動産企業「碧桂園」の董事長を務める実業家。
一方、TVBは関連会社を通じ、台湾のTVBSを保有している。TVBSの株主構成は台湾登記の東方彩視が53%、バミューダ諸島登記の投資会社が47%だが、両株主ともTVBの関連会社が出資している。従って、楊国強氏がTVBの経営権を掌握した場合、TVBSも実質的に中国資本による間接出資となる。
台湾の衛星ラジオテレビ法では、外資による直接出資上限が50%とされているが、間接出資に関する規定はない。通信行政を担当する国家通訊伝播委員会(NCC)によれば、TVBの経営権が変動しても、東方彩視とバミューダ諸島登記の投資会社による株主構成に変更はないため、現行法では審査申請を行う必要はないという。
ただ、実質的にTVBSが中国資本の傘下に入った場合、行政院新聞局や行政院大陸委員会、経済部投資審議委員会などが両岸人民関係条例に照らして審査を行う可能性があり、NCCとしてもTVBの経営権変動を注視していく方針だ。