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瑞芳の景勝地「象鼻岩」、管理不在で相次ぐ転落死


ニュース 社会 作成日:2019年10月21日_記事番号:T00086436

瑞芳の景勝地「象鼻岩」、管理不在で相次ぐ転落死

 新北市瑞芳区の深澳岬にある、波の侵食によってゾウの鼻のような形になった岩「象鼻岩」が近年、「インスタ映え」するなどの理由から観光客の人気スポットになっている。しかし、この地は所有者が誰もいない未登録地で、中央政府と市政府が管理責任を押し付け合った結果、全く安全対策が取られず、観光客が岩から転落して死亡する事故も発生している。

 新北市で波の侵食によってできた景勝地といえば野柳(万里区)が有名だが、深澳岬にも象鼻岩をはじめ、「河童(かっぱ)岩」や「酋長岩」などの奇岩が数多く存在する。かつて駐屯していた軍が2000年に撤退して以降、観光客が増え、「小野柳」の別名で呼ばれるようになった。

 特に象鼻岩は巨大なゾウの鼻が海中に漬かっているようなダイナミックな造形で、しかもゾウの頭の部分に足を踏み入れることができるとあって、休日には記念撮影をしようと大勢の市民が詰め掛ける。

 「ゾウの頭」は海面から10メートル以上の高さに位置し、大きな波に直接打ち付けられることもあるが、安全用のフェンスはおろか、危険を示すラインも引かれておらず、観光客が海に転落する事故が発生している。

 海洋委員会海巡署の統計によると、沿岸部を監視する「岸巡隊」が過去3年間で8度、同地へ救命に出動したものの、2人が帰らぬ人となっている。さらに先月も1人、市民が転落死する事故が起きたばかりだ。

 新北市は、象鼻岩の周辺には私有地が数多く存在するが、この岩自体に所有者はおらず、政府の土地台帳にも登録されていないので、未登録の土地は国有財産署の管轄下に属すると指摘した。

 一方、交通部観光局は、深澳岬は国家風景区(国定公園に相当)に含まれておらず、管理責任は新北市政府にあるとの認識だ。発展観光条例に基づき、同地を観光スポットとして整備する場合は、まず新北市が計画を立案し、法的手続きを進める必要があるとの認識を示した。

 象鼻岩の安全管理が全くなされていないとメディアで報じられたことを受け、新北市の侯友宜市長は、この岩はこれまで同市と瑞芳区公所が管理してきたが、観光客が増えて管理が行き届かない部分が出てきたと釈明。今後は警戒ラインを引く、毎日パトロールを実施し、危険な場所で撮影しないよう呼び掛けるなど、必ず安全対策を講じると強調した。