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香港デモ発端の容疑者出所、「台湾当局に出頭する」


ニュース 政治 作成日:2019年10月24日_記事番号:T00086509

香港デモ発端の容疑者出所、「台湾当局に出頭する」

 香港の反中デモを招いた「逃亡犯条例」改正案で、提案の契機となった台湾での殺人事件の陳同佳容疑者(男、20)が23日、香港・壁屋刑務所を出所し、台湾当局に出頭して裁判を受け、刑に服したいとの声明文を発表した。台湾政府は陳容疑者が台湾に入境したら即座に逮捕する方針だ。24日付蘋果日報が報じた。

/date/2019/10/24/17chen_2.jpg陳容疑者が出所した壁屋刑務所。陳容疑者を乗せた車をメディアの車20台が追跡するなど、現地でも高い注目を浴びた(23日=中央社)

 陳容疑者は昨年2月、台湾を旅行中に交際相手の香港人女性を殺害した疑いが持たれている。その後、香港に戻り、台湾での訴追を免れたが、翌月に被害者女性のキャッシュカードを不正利用したことで香港で逮捕。犯罪によって得た利益を不正に使用した罪で服役し、減刑処分を経て23日に刑期満了により出所した。

 陳容疑者のカウンセリングを担当した管浩鳴牧師によると、陳容疑者は台湾に渡航する23日午前の航空券を購入済みだったが、台湾側が当初、香港政府との犯罪捜査の相互協力の枠組みに基づいた身柄引き渡しでない限り入境を拒否すると表明したため取り消した。その上で、今後の行動は陳容疑者と相談した上で決めると説明した。

 蔡英文総統は同日、「台湾が管轄権を放棄することはない。容疑者は台湾の指名手配犯であり、あるのは逮捕のみで出頭は受け入れない」との声明を発表した。台湾政府は当初、「陳容疑者の自主的な出頭を支援する」とした香港政府に、香港以外の中国の地域で犯罪を行った香港人を裁く権利がないという、「一つの中国」の枠組みに基づく政治的な意図があるとして入境拒否を表明した。しかし、司法管轄権の放棄であり、被害者の人権の観点からも問題があるとの批判を浴びたことから、一転、入境即逮捕に方針を変更した。

 台湾の捜査当局は、既に人員を香港に派遣して陳容疑者と連絡を取っているという。陳容疑者が台湾に赴く際、台湾の航空会社を利用すれば機内で、台湾の航空会社以外であれば到着後に空港で逮捕する方針だ。