ニュース 運輸 作成日:2008年7月7日_記事番号:T00008651
劉兆玄行政院長は6日、宜蘭県南澳~花蓮県和平の約20キロメートルの区間で、既存の省道台9線(蘇花公路)の代替道路を高速道路規格で建設する方針を発表した。同区間は、4月の環境評価大会で環境アセスメントが却下された蘇花高速公路の一部に当たる。「あくまで代替道路であって、高速道路ではない」と交通部は否定してみせたものの、代替案によって事実上の高速道路建設に向けて大きく踏み出したと受け止められている。7日付中国時報などが報じた。
「劉行政院長は多様な声に耳を傾けてほしい」。行政院前で抗議活動を行う環境保護団体(7日=中央社)
南澳~和平間で代替道路を建設する理由について劉行政院長は、「事故が頻発する最も危険な区間で、環境保護をめぐる議論が比較的少ないため」と説明した。毛治国交通部長によると、同区間はがけ崩れなどのために年間50回余り通行止め、または片側通行止めとなる。内政部警政署によると、蘇花公路(宜蘭県蘇澳~花蓮・全長118キロ)での過去12年の交通事故による死者は1,046人に上り、東部住民にとっては「安全な道路」を求める声は切実なものがある。
8月にもアセス申請
交通部は代替道路を工期7年、高速道路の建設財源である国道基金から予算300億台湾元(約1,050億円)を拠出して建設する方針。8月末までに行政院環境保護署に環境影響評価の実施を改めて正式に求める考えだ。これについて沈世宏環境保護署長は7日、「従来の蘇花高速公路でも、新たな代替道路建設でも、着工は環境影響評価に審査を受けることが必須」という考えを語った。また、「年末までに着工できそうか」というメディアの質問に対しては、「そんなに早くはできないだろう」という見解を示した。
なお、史亜平行政院新聞局長は、「将来、蘇花高速公路を建設することになった場合、この代替道路を組み入れれば浪費にはならない」と発言している。
段階的に高速道完成?
代替道路の建設推進に対し、建設に反対する環境保護団体は7日、行政院前で抗議活動を行った。環境保護団体は、「南澳~和平は環境保護大会で否決された高速道路区間と全く重なる。行政院の新提案は、あくまで建設優先という姿勢であり、他の区間も段階的に建設して『高速道路』を完成させる考えではないか」という疑念を抱いている。南澳~和平は半分以上が観音海岸自然保護区と重なるため、代替道路建設によって生態が著しく脅かされる恐れがあるという。
観光振興に逆効果?
蘇花高速公路は1990年に建設計画が策定され、00年にいったん環境影響評価を通過した。06年に行政院が建設延期を決めた後、交通部が提出した「環境差異分析変更案」を基にした審査が進められたが、今年4月の環境評価大会で否決されていた。
同高速道路に対しては、交通の利便性向上や観光振興を求める立場からの賛成論がある一方、▽自然環境破壊▽東部の人口流出に拍車が掛かる▽東部の生活環境への悪影響▽台北からの日帰り客が増え、観光振興にかえってマイナス──など、慎重な意見も多い。
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722