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全ての高山に国旗掲揚台を、韓氏に批判相次ぐ


ニュース 社会 作成日:2019年10月24日_記事番号:T00086510

全ての高山に国旗掲揚台を、韓氏に批判相次ぐ

 国民党の総統選候補、韓国瑜高雄市長は23日、選挙活動のために訪れた嘉義県で、支持者から「全ての高い山に国旗掲揚台を設置すべき」との提案を受け、「できるだけのことをする」などと応じた。これに対し、登山家や環境保護団体から「生態系が破壊される」「原住民文化の冒瀆(ぼうとく)」など厳しい批判の声が上がっている。

/date/2019/10/24/19han_2.jpg韓氏(右3)の国旗掲揚台設置公約は、批判殺到で早くも立ち消えになったといえそうだ(23日=中央社)

 韓氏は同日、嘉義県の党事務所で阿里山地区の果物農家や茶農家、観光業者との座談会を行った。その中で茶農家の男性が「当選すれば玉山や合歓山、梨山、阿里山など初日の出スポットとなっている全ての台湾の高い山に国旗掲揚台を設置すべき」と提案した。

 これを聞いた韓氏は「国旗掲揚台は必要だ」と同意。その上で「台湾には標高3,000メートルを超える山が数百存在し、全てに掲揚台を設置することは不可能だが、できるだけ多く設置する」と語り、「愛国精神、愛国文化を広められることには必ず力を注ぐ」と約束した。

 このアイデアに対し内政部営建署国家公園組の黄怡平科長は、山に掲揚台を設置する場合、「国家公園法」に基づく申請が必要となるが、現状では新たな建築物の設置は全て、自然の景観を破壊すると見なされ、許可が下りないと指摘した。

 台湾女性として初めてエベレスト(中国名・チョモランマ)登頂に成功した江秀真さんも、「小学生から国旗掲揚は行っており、愛国(の重要性)を知らない者はいない」と指摘し、「経費があるのなら山小屋を整備して世界から登山者を呼び込んだ方が有意義だ」と批判した。

 環境保護団体「地球公民基金会」の李根政執行長も、「愚かで時代遅れの文化思想は受け入れ難い」と指弾した。

 こうした批判を受け、韓氏の事務所は急きょ「掲揚台はすぐに実現できるものではないことは市長も承知している」とコメント。「当選すれば、環境、生態などを調査し、生態系を絶対に破壊しないよう、慎重に計画を進める」と説明した。

 韓氏は昨年の市長選で、「南シナ海の太平島で石油を掘る」「高雄の人口を倍増させる」「競馬を誘致する」など景気の良い公約を乱発して勝利している。しかし、同様の手法にはもはや冷ややかな目が向けられている。発言にはより一層、慎重になった方がよさそうだ。