ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

5カ月ぶりの元高円安、工作機械など打撃


ニュース 金融 作成日:2019年10月29日_記事番号:T00086566

5カ月ぶりの元高円安、工作機械など打撃

 外国為替市場では28日、台湾元が対日本円で1円=0.2847元に上昇し、過去5カ月余りで最も元高円安となった。米中貿易協議の進展観測や英国の欧州連合(EU)離脱問題への過度な懸念の後退で「低リスク資産」とされる日本円が売られたためだ。工作機械、受動部品、半導体用シリコンウエハーなど日本メーカーと競合する業界が打撃を受ける一方、日本から材料・部品を輸入している偏光板、自動車業界は恩恵が見込まれる。29日付経済日報などが報じた。

/date/2019/10/29/1top_2.jpg

 台湾元相場は29日午前、1円=0.2837元と元高円安が進んだ。

 機械業界団体、台湾機械工業同業公会(TAMI)の柯抜希理事長は、日本は工作機械業の競合相手で、元高円安がさらに進めば国際市場で太刀打ちできなくなると懸念を表明。特に台湾企業による東南アジアでの新生産拠点立ち上げで商機が見込まれるものの、日本メーカーに奪われる可能性があると説明した。個別企業では▽上銀科技(ハイウィン・テクノロジーズ)▽程泰機械(グッドウェイ・マシン)▽東台精機(東台マシン&ツール)──などが打撃を受けそうだ。

 受動部品業では、日本の村田製作所や太陽誘電が輸出面で有利となり、台湾大手の国巨(ヤゲオ)や華新科技(ウォルシン・テクノロジー)にとって痛手となると予想されている。ただ業界関係者は、受動部品の価格は四半期が始まる1カ月前に決定するため、短期間の為替の動きは台湾メーカーに影響を与えないと指摘。また、日本メーカーとは製品の重複が少ないと説明した。

 半導体用シリコンウエハーの▽環球晶円(グローバルウェーハズ、GWC)▽台塑勝高科技(フォルモサ・サムコ・テクノロジー、台勝科、FST)▽合晶科技(ウエハーワークス)──も、一部の契約価格は事前に決定しており、打撃はスポット市場での取引に限定されそうだ。

偏光板業界、材料コスト低減

 一方、材料コストの7割を日本製品が占める偏光板業界では、円安によるコスト削減効果で粗利益率の上昇が見込まれる。明基材料(BenQマテリアルズ)や誠美材料科技(CMMT、旧奇美材料)が恩恵を受けそうだ。ただ、川下の液晶パネルメーカーの減産で、偏光板業界は価格圧力が強まっている。

 この他、日本から完成車や、台湾生産車用の部品を輸入する裕隆日産汽車や中華汽車工業(チャイナ・モーター、CMC)にも恩恵が見込まれる。

秋の行楽、訪日客にメリット

 元高円安は、秋の行楽シーズンに日本を訪れる台湾人観光客にも歓迎されそうだ。5万元を日本円に両替した場合、29日午前のレートでは17万6,242円と、直近最も元安円高となった8月13日(1円=0.3029元)の16万5,071円より、1万1,171円多くなる計算だ。

【図】