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TSMC、研究陣を8千人拡大


ニュース 電子 作成日:2019年11月1日_記事番号:T00086639

TSMC、研究陣を8千人拡大

 ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の劉徳音(マーク・リュウ)董事長は31日、3ナノメートル以降の先進製造プロセスの研究員を8,000人拡大すると表明した。今後20~30年の発展を見据え、技術や材料の開発などを行う。日本の対韓輸出規制によってサムスン電子のファウンドリー事業に厳しい見通しが出る中、業界首位の地位をさらに確固たるものにする構えだ。1日付経済日報などが報じた。

/date/2019/11/01/00tsmc_2.jpg劉董事長(前)は、今後の半導体産業の発展は製造プロセスの微細化だけでなく、3次元集積化(3DIC)やクラウド上での設計、顧客と共同でのアーキテクチャー開発なども重要になると語った(31日=中央社)

 研究員が配置される新たな研究開発(R&D)センターは、新竹科学工業園区(竹科)で2020年初めに着工され、同年末に完工予定だ。劉董事長は「台湾版の(電気通信の基礎技術研究で実績のある)ベル研究所にしたい」と抱負を語った。TSMC幹部によると、今後、3ナノ以降のプロセスの研究は全て同センターで行う。

 同社は研究開発に過去5年で500億米ドル以上を投じてきた。今後数年も新R&Dセンター設置や技術・材料開発に数百億米ドル規模の投資を続ける計画だ。今年の研究開発経費は過去最高の1,000億台湾元(約3,570億円)に上り、売上高に占める割合は8.6%と、昨年の8%から拡大する見通しだ。

来年の半導体景気を慎重視

 来年の半導体景気について劉董事長は、世界的な貿易摩擦の不確定要素が依然多く、厳しい状況が続くと説明した。ただ第5世代移動通信(5G)関連商機が拡大しており、川上のIC設計から川下のパッケージング(封止)までサプライチェーンを網羅している台湾は、悪影響を低減できる可能性があると指摘した。

 また、今年の台湾半導体産業の生産額は、厳しい環境下でも成長が見込まれると述べた。台湾半導体産業協会の統計によると昨年は2兆6,000億元だった。

米国新工場は検討段階

 なお、米軍の要請で同社が米国への新工場設置を検討しているとの観測については、検討段階であり、当面予定はないと強調。米軍は安全保障の観点から、米国での軍事用関連チップの生産に向けて、同社の米国顧客に打診しているが、同社には直接の圧力はないと説明した。

 さらに、現在はビジネス用と軍事用チップの多くを区別せずに生産しており、軍事用チップが米国顧客の業績に占める割合はわずか1,000分の1ほどにすぎず、米国での生産コストは高過ぎて競争力を保てないと指摘した。