ニュース 政治 作成日:2019年11月5日_記事番号:T00086689
中国・国務院台湾事務弁公室(国台弁)は4日、台湾の企業・市民に対する新たな26項目の優遇措置を発表した。昨年2月に発表した31項目の優遇措置の拡充、具体化を図ったもので、中国での第5世代移動通信(5G)産業への参入などが新たに可能となる。これに対し台湾政府は、「一国二制度台湾プラン」の推進計画であり、総統選挙に影響を与える意図は明確と強く批判した。5日付聯合報などが報じた。
新優遇措置に関して民進党政権を批判した国台弁の馬暁光報道官。米中貿易戦争によって中国投資の流れに大きな変化が生じた中、効果には疑問符が付く(中央社)
新優遇措置「さらなる両岸経済文化交流合作の促進に関する若干の措置について」では、台湾企業・市民に中国企業・市民と同等の待遇を与える従来からの理念の下、具体的な内容が示された。台湾企業に対する13項目の措置では、中国での5Gや資源リサイクルといった重点分野での研究開発(R&D)への参入や、民間航空、テーマパークなどの事業への投資を認めた他、融資や貿易面で中国企業と同様の便宜を図ることなどが盛り込まれた。
産業界からは商機への期待感に歓迎の声が上がった一方、経済部は米中貿易戦争でも争点となっている5Gの核心技術が流出する可能性があると警鐘を鳴らした。業界関係者は、台湾企業が中国の5Gサプライチェーン入りを果たしても、中国企業の技術成長ですぐに追い出されることとなり、長期的に利益は見込めないと指摘した。
台湾の市民に向けては新たに、海外で困難な状況に見舞われた際に、中国大使館に救助を要請できる他、中国のパスポートを申請できることが示された。外交部はこれに対し、中華民国台湾は主権国家であり、海外での自国民の保護において中国の干渉は不要と強調した。
「中国の利益」が狙い
国台弁は新優遇措置について、習近平国家主席が今年1月、一国二制度による台湾統一を呼び掛けたことを受けて、両岸(中台)関係の促進・強化を図るため、台湾企業・市民向けの保障や福利を拡充したと説明した。
一方、総統府の丁允恭報道官は、台湾社会を分裂させ、人心をかく乱し、総統選挙に干渉するための政治的手段であり、市民の実質的な利益を損なうものと批判した。
大陸委員会(陸委会)も、「台湾に恩恵を与えると称しつつ中国の利益を図ることが本質であり、『一国二制度』の政治的思惑も込めている」と批判。一国二制度を迫りつつ、企業・市民の取り込みを図る手法はあからさまで、中台間の距離を縮めることにはつながらないと非難した。
さらに、従来の31項目の優遇措置から1年余りで新措置を発表したのは、従来の措置の実施状況が芳しくないためで、台湾市民の一国二制度に対する拒否が示されたと指摘した。
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