ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

鉄道駅での顔認識システム、人権侵害の指摘も


ニュース 社会 作成日:2019年11月6日_記事番号:T00086735

鉄道駅での顔認識システム、人権侵害の指摘も

 交通部鉄道局は鉄道駅で指名手配犯などを顔認識で割り出す「スマート画像監視システム」を順次整備する計画だが、適法性、人権やプライバシーの侵害を巡る議論が起きている。6日付聯合報が伝えた。

/date/2019/11/06/18rail_2.jpg交通部鉄道局は、弱者を含む誰もが安全で安心できる環境を作りたいとコメントした(同局リリースより)

 同システムは台北都市交通システム(MRT)での無差別殺人、台湾鉄路(台鉄)松山駅(台北市松山区)付近の車内で起きた爆弾テロ事件などを受け、鉄道局が2,588万台湾元(約9,300万円)を投じ、台鉄豊原駅(台中市豊原区)に試験導入。今年8月には指名手配中の窃盗犯の逮捕につながった。

 同システムは監視システムとモノのインターネット(IoT)を融合し、人工知能(AI)分析で要注意者リストとの照合の他、ホームの警戒ラインを越えていないか、エスカレーターを逆走していないかの確認、遺失物捜索などの監視に活用されている。

 このうち、要注意者リストは正式には「警務用安全特殊名簿」と呼ばれ、指名手配犯などの写真が登録されており、指名手配犯が鉄道駅に姿を見せた場合、駅係員や関係者にスマートフォン経由で警報が伝わる仕組みとなっている。台鉄の全241駅への設置には50億元以上の費用がかかるとみられている。

 これに関連し、台湾人権促進会の邱伊翎秘書長は「政府は安全対策設備設置の比例原則と必要性について、民衆に合理的な告知を行うべきだ。顔認識が台湾でどのような範囲で応用可能なのか、明確な説明が求められる」と指摘した。

 一方、法曹界関係者は、鉄道駅は公共の場所に当たるため、基本的にプライバシーや個人情報の侵害には当たらず、適法性にはさほど疑問がないとし、乗客の安全のために監視システムを設置することは比例原則にも合致するとの見解を示した。