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火が怖くて現場に入れない、消防隊員に戒告処分


ニュース 社会 作成日:2019年11月7日_記事番号:T00086759

火が怖くて現場に入れない、消防隊員に戒告処分

 10月末、台南市のマンションで火災が発生した際、現場に駆け付けた消防隊員の1人(40、女性)が、「火が怖い」との理由で現場に突入せず、消火活動に従事しなかったため、後日、消防局から戒告処分を受けていたことが明らかとなった。

 10月25日午後、台南市安南区の低層マンション2階の1室で火災が発生し、通報を受けた同市政府消防局は大勢の消防隊員を出動させた。

 現場到着後、消防隊の指揮官は出火した建物内に人が閉じ込められているとの情報を得たため、全隊員に対しすぐに救助、消火作戦を開始するよう指示した。しかし1人の女性隊員は「火が怖くて現場に入れない」と主張し、現場周辺をうろうろするだけだったそうだ。これを見た他の隊員はあきれて何も言えなかったという。

 消防局によると、この隊員は警察官や消防士を育成する教育機関、台湾警察専科学校(警専)を1999年に卒業し、台北市政府消防局で1年間勤務した後、台南市政府消防局への異動を申し出た。内勤業務に配属されたが、勤務態度は消極的で、10年間で救災救護指揮センターや火災予防科、人事室など6度の配置換えを経験した。

 5年前から外勤に転じ、消防隊員として働くようになってからも勤務態度は変わらず、同僚の隊員からは不満の声が上がっていた。さらに昨年12月には「ここが気に入らないなら異動願を出せ」と告げた分隊長を、「公務の妨害」を理由に告訴(結果は不起訴処分)するなどトラブルメーカーとして知られていた。

 この隊員は現在、残業手当や危険手当を含め7万~9万台湾元(約25万~32万円)の月給を得ている。

 この問題について6日の台南市議会で市議から説明を求められた黄偉哲市長は、「消防隊員が火を恐れて現場に入れないとは信じ難い」と語った上で、「他の隊員の安全や救助活動に影響が出る可能性があるため、配置換えが必要」との認識を示した。これを受けて同市消防局の李明局長は、公務員懲戒委員会(公懲会)に案件を送付し、判断を求める考えを示した。

 なお、この隊員は毎年の勤務評定の時期には、自身を勤務評定委員に推薦していたそうだ。積極さを向ける方向が間違ってしまったようだ。