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台北MRTのエスカレーター、負傷事故が年間200件超


ニュース 社会 作成日:2019年11月12日_記事番号:T00086832

台北MRTのエスカレーター、負傷事故が年間200件超

 台北都市交通システム(MRT)では、駅構内のエスカレーター利用者が負傷する事故が年間200件以上発生している。運営会社の台北大衆捷運(TRTC)によると、「エスカレーターを歩行する」、「しっかり立っていない」ことが事故の二大原因だ。

 台北MRT駅のエスカレーターを歩行中に負傷した人の数は▽2016年、45件▽17年、50件▽18年、52件▽19年1~9月、39人──とやや増加傾向にある。

 一方、エスカレーターのステップにしっかりと立っていなかったことが原因で負傷した人の数も▽16年、61件▽17年、41件▽18年、47件▽19年1~9月、34人──と年間50人前後で推移している。

 TRTCは、携帯電話を使用したり、おしゃべりをしていたことによる不注意や、エスカレーターの側面により掛かったり、両手が荷物でふさがって手すりがつかめないなど、しっかり立っていなかったことが原因でバランスを崩し、倒れて負傷したケースが多いと指摘した。長いスカートやサンダルがステップの隙間に巻き込まれた事例もあった。

 台北MRTはかつて、「エスカレーターでは右側に立ち、左側を急ぐ人のために空けよう」と呼び掛け、これがマナーとして定着した。

 しかし、04年の大みそかに市政府駅のエスカレーターで5人が重軽傷を負う転倒事故が起きたことがきっかけとなり、TRTCは左側歩行を呼び掛けるのをやめ、「手すりをつかみ、しっかり立つ」という安全重視の乗り方を推奨するようになった。

 ただTRTCはエスカレーターでの歩行を禁止しているわけではなく、「左側を歩行者のために空ける」マナーは根強く残っている。この習慣を是正しようと以前、ある民間団体がエスカレーターの左右両側に立つ運動を始めたところ、大きな論争が巻き起こった。実際、エスカレーターで左側に立っていると、後ろからやって来た歩行者ににらまれたり、罵声を浴びせられたりすることもある状況だ。

 TRTCは、本来マナーはエスカレーターのどちら側に立つべきという問題ではなく、お互いに思いやりと他人を尊重する気持ちを持つことと指摘。「歩行者はせかすことなく、立っている者はできる範囲内で歩行者にスペースを譲ればよい」と呼び掛けた。