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引きこもり問題、台湾でも深刻化


ニュース 社会 作成日:2019年11月15日_記事番号:T00086910

引きこもり問題、台湾でも深刻化

 日本で大きな社会問題となっている青少年の「引きこもり」への懸念が台湾でも高まっている。精神科の医師は、自室にこもってゲームやインターネットばかりに熱中し、全く外出せず、人付き合いもないなどの問題を抱えて診察に訪れる患者はここ数年で2割ほど増加しており、社会が直視すべき課題と指摘する。

 引きこもりとは、学校や仕事へ行かず、1日の大部分を自宅内で過ごし、家族以外との交流がほとんどない状態を指す。引きこもりの人の診察に当たった経験を持つ精神科医、楊聡財医師によると、台湾は中高生や社会に出たばかりの20歳前半に引きこもりが集中していると指摘する。

 楊医師によれば、引きこもりの若者は学校で達成感を得られず、人間関係も悪くなった結果、ネットを使用する時間が増えるようになることが多い。その後、遅刻、仮病で授業をさぼるなどの行動が目立つようになり、最終的には不登校となって、1日中、自室でネットゲームに没頭し、昼夜逆転した生活を送るようになる。

 こうして見ると、日本と同じように見えるが、中正大学犯罪防治学系の陳慈幸教授は、「台湾では引きこもりとなる背景が異なる」と指摘する。陳教授は、秩序が重んじられる日本では社会的プレッシャーが強く、社会に出たくないと考えて引きこもりとなるケースが多い一方、台湾では両親の過度な期待と干渉、精神的圧迫を受けた子供が自信を喪失し、他人とのコミュニケーション能力を失って引きこもる場合が多いという。

 例えば、ある28歳の女性は、干渉の強い両親の下、何をするにも親の同意を得る必要があった。大学院を修了した後、何度か職に就いたが、いずれも親がその仕事を嫌ったために退職。徐々に社会に出ることに抵抗感を覚えるようになり、今では友人との関係も希薄となり、家の中でずっとドラマを見る生活を送っている。

 専門家によると、引きこもりのケースでは、本人が外出したがらない上、家族も抵抗感や知識不足からなかなか医師の診察を受けさせず、暴力行為など極端な症状が出てから慌てて病院に引っ張っていくことが多い。子供にネット中毒や登校拒否の傾向が出た場合、早い段階で学校を含めた専門機関に相談することで、未然の防止に努めたい。