ニュース 建設 作成日:2019年11月21日_記事番号:T00086991
台北市信義区の超高層ビル「台北101」そばの総合行政ビル、信義行政中心の地上権(50年間)売却入札が20日行われ、生命保険大手の南山人寿保険が159億8,100万台湾元(約570億円)で落札した。最高級のオフィスビルを開発する計画で、北隣に位置する同社の商業オフィスビル「台北南山広場」と一体的なオフィスパークの形成を目指す。オフィス不足の同市において、次代の大規模供給案件として注目される。21日付工商時報などが報じた。
信義行政中心(手前)。台北101(奥)、台北都市交通システム(MRT)の台北101/世貿駅、象山駅に近い最高の立地だ(20日=中央社)
落札額は最低制限価格の99億8,800万元を60%上回った。1坪当たりでは744万1,800元で、台湾の地上権落札として過去最高となった。
南山人寿は、「台北南山広場」と一体的な開発を計画しており、上空連絡通路(スカイウェイ)で結んで連結、台湾で最も優れたオフィスパークを構築すると説明した。投資額は200億元以上が見込まれる。
南山人寿はまた、台北市の高級(A級)オフィス需要は今後も拡大が見込め、新たなオフィスビルは長期にわたり安定収入を確保できると自信を示した。金融監督管理委員会(金管会)が生保業者の不動産投資に求める最低投資報酬率2.345%も、クリアできるとみている。
完成まで9年以上
台北市財政局は、開発着手は行政中心移転後の3年後と説明した。不動産コンサルティング会社、瑞普萊坊(リプロ・ナイトフランク)市場研究顧問部の黄舒衛総監は、引き渡しから建設・完成までの期間は少なくとも9年で、その時点で信義計画区の高級オフィスビルの月間平均賃料は1坪当たり約6,000元に達すると予測。「台北101」が完成から二十数年経過し、「統一国際大楼」が中古オフィスに分類される頃で、南山人寿は「台北南山広場」の成功に続いて上級顧客のオフィス移転需要を獲得できると指摘した。
同地上権の敷地面積は2,147.45坪、基準容積率は560%。黄総監は、塩分の高い海砂使用が判明している行政中心の建て替えは都市危険・老朽建築物建て替え加速条例(危老条例)の容積率奨励措置の適用が見込め、セットバック、グリーン建築、スマート建築などの奨励措置を合わせれば、容積率は少なくとも1,064%に達し、オフィス2万3,000坪の供給が見込めると指摘した。
「台北南山広場」は、南山人寿が台北世界貿易センター2館(世貿二館)の地上権を獲得し開発した。来年には同3館(世貿三館)の地上権入札が予定されており、落札競争は熾烈(しれつ)を極めそうだ。
台北オフィス空室率、わずか4%
落札価格高騰の背景には、台北市で高級商業オフィスビル供給が逼迫(ひっぱく)し、空室率が4.18%と過去最低を記録していることがある。年内にはさらに3.3%まで下落するとみられている。建設中のビルは自社用が多く、しばらくは需給の改善につながらない見通しだ。
台北市の商業オフィスビル賃貸市場では、11四半期連続で四半期当たりの物件消化が5,000坪を超えた。米中貿易戦争による台湾Uターン投資拡大などを受けて、オフィスのアップグレード、業務拡大向け需要が高まっている。
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