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養子の引受先、台湾域内が初めて海外上回る


ニュース 社会 作成日:2019年11月25日_記事番号:T00087057

養子の引受先、台湾域内が初めて海外上回る

 台湾では近年、年間200人余りの子供が養子に出されているが、衛生福利部(衛福部)の統計によると2018年は初めて台湾の里親に引き受けられるケースが、海外の里親を上回った。一方で、発達遅延や障害のある子供の引き受けは、海外の里親が依然、約8割を占めている。

 11年に改正された「児童および少年福利・権益保障法」では、「養子に出す場合、原則として域内の里親を優先する」と規定されている。

 改正翌年の12年には合計273人の子供が養子に出されたが、その大部分が▽経済状態が良くない▽家庭で世話や教育をすることができない▽一人親家庭で養育が困難──を理由とするものだった。273人のうち、26人が発達遅延、12人が心身の障害、46人が疾病を抱えていたが、これら子供の約8割は海外へ養子に出された。

 一方、18年には計245人の子供が養子に出され、初めて域内の里親が海外の里親を上回ったが、発達遅延のある41人、心身に障害がある7人、疾病を抱える21人の子供のうち、海外へ養子に出されるケースは依然、約8割を占めた。

 これについて児童福利聯盟文教基金会(児福聯盟)の白麗芳執行長は、考え方の違いの他、各国の社会福祉制度が関係すると指摘。オランダでは心身に障害を持つ子供が家庭にいる場合、政府が住宅のバリアフリー化を支援する他、特別な自動車を設計するサービスまで提供しているという。

 出産した未婚女性から養育が困難な場合に子供を引き取り、養子縁組サービスなどを提供している「台南嬰児之家(台南赤ちゃんの家)」社工部の劉宜菁主任も、台湾では障害者や特殊な疾病を抱える子供を受け入れる態勢が整っていないが、海外では早期治療に関するリソースが豊富だと指摘。ただ「台湾で生まれた子供はやはり、域内で新たな家を見つけてやりたい」と語った。

 この他、衛福部社会・家庭署(社家署)家庭支持組の簡杏蓉組長は、台湾では里親になろうと思い立った場合でも、実の親に麻薬の使用歴や犯罪による収監歴がない子供を優先して引き取りたいと考えるケースが多いと指摘した。このため社家署では「子供は商品ではない」との意識付けを強化し、特殊な背景を持つ子供を排除しないでほしいと訴えている。