ニュース 電子 作成日:2019年11月27日_記事番号:T00087084
IC設計最大手、聯発科技(メディアテック)は26日、同社初のスマートフォン向け第5世代移動通信(5G)対応システム・オン・チップ(SoC)「天璣(Dimensity)1000」を発表した。世界最速の通信速度をうたい、来年の春節(旧正月、2020年は1月25日)前にも搭載製品が発売される見通しだ。同社は、5Gモデムチップがインテル搭載ノートパソコン向けに採用されるなどスマホ分野以外も強化しており、半導体産業などに幅広い商機をもたらすことが期待される。27日付経済日報などが報じた。
蔡執行長(中)、TSMCの何麗梅副総経理(右5)ら。台湾の5G大アライアンス形成をアピールした(26日=中央社)
「天璣1000」は、5Gのサブ6ギガヘルツ(GHz)帯対応モデムチップを統合した他、世界で初めて5G通信速度を2倍に引き上げる2キャリアアグリゲーション(2CC CA)に対応した。5GデュアルSIMにも対応しており、こちらも世界初だ。消費電力は競合製品に比べ最大49%削減。スタンドアロン(SA)とノンスタンドアロン(NSA)ネットワーク双方への対応で、欧米とアジアの主要通信キャリアで利用可能だ。人工知能(AI)演算能力は2倍以上に向上した。
観測によると、中国・広東省深圳での発表会に出席した中国のスマホ大手、OPPO広東移動通信と維沃移動通信(vivo)が最初の採用先に含まれるようだ。同業のクアルコムに先駆けての発表で、採用拡大を狙う。
台湾での記者会見に出席した蔡力行執行長は、スマホ向けの他、ノートPC、車載、ホームエンターテインメント向けなどで5G製品のラインアップ構築を予定しており、中国市場だけでなく、欧米、韓国など世界市場攻略を目指すと意欲を示した。
TSMCや封止検査業者に恩恵
「天璣1000」は、ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の7ナノメートル製造プロセスを採用した。後続製品には6ナノ、5ナノの採用が視野にある。
台北会場には、TSMCの他、半導体パッケージング・テスティング(封止・検査)の日月光投資控股(ASEテクノロジー・ホールディング、ASEH)、矽品精密工業(SPIL)、京元電子(KYEC)、プローブカードの中華精測科技(CHPT)などの協力メーカーが出席した。世界各国・地域で来年本格化する5G商用サービス、モノのインターネット(IoT)、スマートカー向け採用拡大を前に、不可欠なファウンドリーや封止・検査業者の協力を取り付け、業界一体となって商機獲得を目指す構えだ。
5G時代を導く星に
シリーズ名「天璣」は、北斗七星を構成するおおぐま座ガンマ星の中国語名から名付けた。陳冠州総経理は、5G時代を導く星として、同社が5G技術と標準規格策定に続き、5Gエコシステム推進でも指導的立場を発揮していくことを願ったと説明した。
「1000」は、同社が4Gから5Gにかけての研究開発(R&D)に投じた約1,000億台湾元(約3,600億円)を象徴する。蔡執行長は、5G向け研究開発人員の70%は台湾にいると指摘。今後も台湾投資を拡大するとの考えを示した。
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