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肺がん罹患率アジア2位、新たな「国民病」に


ニュース 社会 作成日:2019年11月27日_記事番号:T00087105

肺がん罹患率アジア2位、新たな「国民病」に

 世界保健機関(WHO)の調査によると、台湾の肺がん罹患(りかん)率はアジア2位と、北朝鮮に次ぐ高さであることが分かった。世界全体では15位だ。台湾の肺がんによる死亡者数は年間9,000人以上に上り、過去10年連続でがんによる死因で最大を占め、新たな「国民病」と呼ばれている。

 WHOの2018年の調査結果によると、台湾の肺がん罹患率は人口10万人対し36人で、北朝鮮の36.2人をわずかに下回る高さだった。世界平均の22.5人よりはるかに高い。台湾全土での肺がんの新規罹患者数は年間1万人以上に上り、過去10年増加傾向にある。増加幅は男性が33.1%であるのに対し、女性は94.8%にも上る。

 罹患の低年齢化も指摘されている。男性の罹患年齢は10年前の平均72歳から68歳へと、女性は65歳へと早まった。台湾肺癌学会の陳育民理事長は、発がん因子に接する機会が増えたことが原因の可能性があるとみている。

 台湾癌症基金会の頼基銘執行長は、がんの形成には10~30年かかるため、過去にたばこの煙、工場の排気、厨房(ちゅうぼう)の油煙を軽視していた影響が今になって現れてきていると分析した。その上で、罹患者の半数以上には喫煙の習慣がなく、社会全体の喫煙による害も減少していることから、がん予防のための次の敵はPM2.5(微小粒子状物質)などによる大気汚染だと指摘した。

 肺がんは初期症状が分かりづらく、早期発見が難しいことから、▽死亡率▽末期での発見率▽医療費支出──が、主ながんの中で最も高い「3冠王」だ。末期に近いステージ4になって診断が下される割合は51.9%に達する。

 頼執行長は、個人レベルでできる対策として、野菜や果物を食べることでがん細胞の増殖を阻害し、がんへの罹患率を4割以上低減できるとの研究結果があると指摘した。また、調理中は台所を換気するよう提言した。

 肺がんは何より早期発見が大切。陳理事長は、息切れ、せき、胸の痛みはいずれも重要なサインで、こうした症状が3週間以上続くようなら、必ず医師の診察を受けるよう呼び掛けている。