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液晶パネル投資一服か、来年上半期にも底打ち


ニュース 電子 作成日:2019年12月2日_記事番号:T00087169

液晶パネル投資一服か、来年上半期にも底打ち

 液晶パネル世界最大手、中国・京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)が、液晶パネル生産への新規投資を行わないと表明した。テレビ用パネル出荷枚数で世界2位のLGディスプレイ(LGD)の減産、パナソニックの2021年生産終了と、シェア4割以上を占める大手3社の投資見合わせで、深刻な供給過剰が続いていた液晶パネル市場は来年第1~2四半期にも底打ちが見込まれ、友達光電(AUO)と群創光電(イノラックス)の赤字脱却に期待が寄せられる。2日付経済日報などが報じた。

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 BOEの陳炎順董事長は先日、今回の液晶パネル景気の冷え込みは会社設立(1993年)以来で最も厳しかったと指摘し、来年第1四半期か第2四半期初めに回復の兆しが表れるとの見方を示した。同社の投資の重点は今後、有機EL(OLED)パネルや、ミニ発光ダイオード(LED)、マイクロLEDなどの新しいディスプレイ技術に移すと説明した。液晶パネル生産ラインの新規開設は、来年でほぼ終了するようだ。

 韓国大手のLGDやサムスンディスプレイ(SDC)は液晶パネルの減産、有機ELパネルへの転換を進めている。パナソニックは先月下旬、21年をめどに液晶パネル生産を終了すると発表した。

 イノラックスは、パネル産業にとってプラスと歓迎する一方、来年はBOEの2基目となる第10.5世代液晶パネル工場が稼働する他、鴻海科技集団(フォックスコン)や中国の恵科(HKC)なども生産ライン新設を予定しているとして、慎重な見方を崩していない。

 微駆科技(エクスプロア・マイクロエレクトロニクス)の呉金栄総経理は、TCL華星光電技術(CSOT)や中電熊猫信息産業集団(CECパンダ)など他の中国メーカーが増産を続行すれば、液晶パネル供給過剰の緩和は限定的との見方を示した。また、台湾のパネルメーカーは赤字続きで、有機ELパネル商機を逃す恐れがあると指摘した。

ミニ・マイクロLED競争へ

 AUOとイノラックスは、中堅の中華映管(CPT)の生産終了により転注があったものの、液晶パネル価格下落で第3四半期の純損失が拡大した。AUOの赤字は3四半期連続、イノラックスは4四半期連続だ。

 ただ、両社はこれまで何度もパネル景気変動を乗り越えている。第3四半期末時点の現金と現金同等物はAUOが711億5,000万台湾元(約2,600億円)、イノラックスが368億4,000万元と、財務は健全だ。今後、台湾投資を拡大し、▽産業▽商業▽医療▽車載▽パブリック・インフォメーション・ディスプレイ(PID)──などの高付加価値製品に注力し、米中貿易戦争の中で漁夫の利を狙う。

 中小型液晶パネルメーカーの瀚宇彩晶(ハンスター・ディスプレイ)は、粗利益率が高い産業用、車載用パネルの出荷割合を高め、3四半期連続での黒字を達成した。

 一方、台湾メーカーは先行するミニLED、マイクロLED分野で今後、BOEなどの追い上げに遭うと予想される。

【図】