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高校敷地内の線路跡、70年前の車両が走行


ニュース 社会 作成日:2019年12月2日_記事番号:T00087191

高校敷地内の線路跡、70年前の車両が走行

 嘉義県朴子市、東石高級中学(高校)の敷地内には、かつてサトウキビを運ぶために台湾糖業(台糖)が敷設した軽便鉄道の線路が今も残されている。同校で30日に行われた創立記念イベントで、この線路の上に車両を走らせ、かつての光景を再現する試みが実施された。

/date/2019/12/02/18kakomi_2.jpg車両が線路を走る様子を目にした卒業生からは、学生時代を思い出して感動したとの声が聞かれた(陳さんFBより)

 東石高校に残る線路は、1910年ごろに台糖が砂糖の原料を運ぶため敷設した、嘉義市と嘉義県港墘を結ぶ路線「朴子線」の一部だ。

 楊長鉿校長によると、同校が39年に現在の場所に移転した際、線路は学校の敷地のすぐそばを通っていたそうだ。朴子線が現役だったころ通っていた卒業生は、「通学時によく列車に乗っていた」、「多くの子供が列車からサトウキビをこっそり抜き取っていた」と振り返る。

 81年の廃線後、同校の敷地が拡大されたことで、現在のように校内に約250メートルにわたり線路が残される、台湾でも珍しい光景が出現することとなった。

 なお朴子線の線路は廃線後も長く残されていたが、99年末から始まった都市再開発計画に伴い、台糖による撤去が進められた。

 同校の関係者は校内の線路を残したいと考えたが、線路の土地は台糖の所有物で決定権がなかったため、歴代校長が土地を買い上げる費用の補助を求め、長年にわたり政府に陳情。その結果、ついに教育部から3,155万台湾元(約1億1,300万円)の補助金を獲得することに成功し、今年、所有権が学校に移管された。

 今回の創立記念イベントで展示されたのは、70年以上前に台糖の彰化県渓湖工場で使用された車両で、廃棄処分が決まった際に鉄道ファン、陳朝強さんが自費で購入し、修復したものだ。思い入れの強い水色の車両が、100年以上の歴史を持つ線路の上を走行する姿を見た陳さんは自身のフェイスブック(FB)ページに「ついに夢がかなった」と喜びのコメントを記した。