ニュース 電子 作成日:2019年12月5日_記事番号:T00087244
米半導体大手、クアルコムは米国時間3日、第5世代移動通信(5G)対応のスマートフォン用システム・オン・チップ(SoC)新3製品を発表した。このうち最上位製品のモデムチップは、ファウンドリー最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が受託生産する。クアルコムは高周波(RF)関連で台湾業界との連携を強化すると表明しており、TSMCが韓国のサムスン電子からSoC本体の受託生産の受注を奪うと期待されている。5日付工商時報などが報じた。
アモン社長は、来年5Gユーザーは2億人に達すると予測した(クアルコムリリースより)
発表されたのは▽スナップドラゴン865▽同765▽同765G──で、来年量産出荷する。このうち、旗艦機種向け最上位製品「865」では、性能を最大限に発揮するため外付けモデムチップ「X55」との2チップソリューションを採用した。「X55」は、TSMCが7ナノメートル製造プロセスで受託生産する。
また、SoCとモデムチップのパッケージング・テスティング(封止・検査)は、日月光投資控股(ASEテクノロジー・ホールディング、ASEH)や京元電子(KYEC)などの台湾業者が受注するようだ。
3製品は、5Gのサブ6ギガヘルツ(GHz)帯に加え、ミリ波(mmWave)帯にも対応しており、サブ6GHz帯のみに対応する台湾の聯発科技(メディアテック)の競合製品「天璣(Dimensity)1000」に先行する。中国のスマホ大手の小米集団(シャオミ)やOPPO広東移動通信から、来年第1四半期にも搭載製品が発売されるようだ。
メディアテックと価格競争へ
新SoCの価格は、最上位製品「865」では120~150米ドルするが、「765」シリーズでは70米ドルにまで抑えたようだ。メディアテックが先ごろ発表した「天璣1000」は70~85米ドルとされ、4G向けで両社が中国市場で繰り広げた価格競争が再燃しそうだ。
クアルコムのクリスチャーノ・アモン社長は、競争により中国市場での平均販売価格(ASP)下落が期待でき、5Gスマホの早期普及に資すると述べた。
モジュール化、TSMC参画
クアルコムは同日、5Gモバイルプラットフォームのモジュール化計画を発表した。モノのインターネット(IoT)、ウエアラブル(装着型)端末、車載向けなどで、OEM(相手先ブランドによる生産)の5G対応製品参入障壁を大幅に引き下げることが狙いだ。
アモン社長は、RFデバイスではTSMCとの協力を進める計画で、将来はモバイル製品向けだけでなく、演算系チップ分野での協力も考えられると指摘した。証券会社は、同分野でTSMCの推薦の下、ガリウムヒ素(GaAs)ファウンドリー最大手の穏懋半導体(ウィン・セミコンダクターズ)が恩恵を受けると指摘した。
TSMCは、来年第2四半期まで受注見通しが立っているようだ。今後は、試験生産中の5ナノ製造プロセスでクアルコムからの受注を狙う。
サムスンの7ナノ製造プロセスでは一時、クアルコム向け生産での歩留まり率低下問題が伝えられていた。アモン社長は、TSMCとサムスン両社との関係は引き続き強化すると強調した。
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