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グローバルウェーハズ、台湾投資3.5億ドル


ニュース 電子 作成日:2019年12月11日_記事番号:T00087354

グローバルウェーハズ、台湾投資3.5億ドル

 半導体用シリコンウエハー世界3位、環球晶円(グローバルウェーハズ、GWC)は10日、海外子会社からの利益など3億5,000万米ドルの台湾への送金を董事会で承認した。台商(海外で事業展開する台湾系企業)のUターン投資を奨励する「境外資金匯回管理運用・課税条例」(海外資金送金特別法)を利用するもので、単一企業の適用申請額として最大となる。来年上半期にも送金を完了し、ハイエンドの半導体用シリコンウエハーの生産拡大などに充てる。台湾積体電路製造(TSMC)の先進製造プロセス投資にけん引され、業界全体で投資熱が高まっている。11日付経済日報などが報じた。

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 同社は、送金した資金は▽先進製造プロセス向けのハイエンド半導体用シリコンウエハーの生産能力・技術開発拡大▽第5世代移動通信(5G)、パワーエレクトロニクス、電気自動車(EV)など向けで需要の高まるシリコンカーバイド(炭化ケイ素、SiC)ウエハーと半絶縁SiCウエハーの開発加速▽台湾のシリコンウエハー研究開発(R&D)センターの体制・研究開発能力拡大▽製造工程でのグリーンエネルギー使用率向上──の四大分野への投資に充てると説明した。

 同社は、ワイドギャップ半導体の窒化ガリウム(GaN)や半絶縁SiCウエハーを好感しており、今後は高周波(RF)向けGaNパワートランジスタの開発を進め、4.5G/5G基地局やEVでの採用を目指す。先進的な製品の研究開発で、ブルーオーシャン(競合がいない有望市場)を狙う構えだ。

業界全体に投資波及

 同社のハイエンド半導体用シリコンウエハーの生産拡大は、ファウンドリー世界最大手のTSMC、DRAM大手の米マイクロン・テクノロジーなどの台湾投資に呼応したものだ。

 半導体リードフレームでは、大手の長華科技(CWTC)や界霖科技が台湾生産拡大を表明した。パッケージング・テスティング(封止・検査)の日月光投資控股(ASEテクノロジー・ホールディング、ASEH)、半導体材料、設備メーカーなど、生産拡大の動きが相次いでいる。

単一年度でも過去最高

 同社の台湾送金は、上場・店頭公開企業の単一年度の送金額として、初めて100億台湾元(約360億円)を超える見通しだ。

 同社は、▽米国▽欧州▽日本▽中国──など海外工場の利益を台湾へ送金した際の税率は20%だったが、今年8月に海外資金送金特別法が施行されたことで、台湾での実質投資のための送金に対しては租税優遇で税率が大幅に引き下げられたため、台湾への資金送金を決めたと説明した。

 同法を利用した台湾への送金申請額は、これまでに約300億元に達した。

11月、様子見ムードで減収

 同社の11月連結売上高は前月比1.7%減、前年同月比15.5%減の43億4,400万元で、過去約1年9カ月で最低だった。1~11月は、前年同期比0.95%減の533億5,400万元で、前年同期を下回っている。米中貿易戦争の打開に向けた交渉が進展しないことで、顧客の様子見ムードが広がっているためだが、業界関係者は、市況はほぼ底にあり、来年上半期には改善するとの見通しを示した。

【表】