馬英九総統は13日、高雄の発展の青写真として、台湾ひいてはアジアの「空運センター」として成長を促すという構想を初めて提示した。近隣諸国との航空網を拡大して、外資や海外台湾企業の業務本部を誘致し、不動産業をはじめとしたビジネスや観光業の振興を図る。「重工業の港湾都市」から「貿易センター」へと高雄のイメージを進めていく。14日付工商時報が報じた。
小港臨海工業区で工場を視察する馬英九総統(左2)。メディアの「引きこもり」批判を払拭すべく、ようやく陣頭指揮に立ったのだろうか(13日=中央社)
高雄国際空港(小港空港)は高雄市中心部から近く、今年3月の都市交通システム(MRT)紅線の開通によって、台湾鉄路(台鉄)高雄駅や高速鉄路(高鉄)左営駅と結ばれ、利便性が格段に向上している。また、アモイや広州など中国南部の都市と近く、直航チャーター便がこの7月から正式に始まったことで、今後、中国人観光客の商機拡大が期待できる。
馬総統は13日、劉兆玄行政院長、尹啓銘経済部長らと共に小港臨海工業区での中小企業との座談会に出席した。南部の観光産業の振興に協力を求める業者らに対し、馬総統は、大鵬湾(屏東県東港鎮)、墾丁(屏東県恒春鎮)など南部の観光資源を挙げ、「近隣都市へのセールスプロモーションによって、必ず観光振興を実現できる」と強調した。
税率引き下げが必須
馬総統はこれまで台北市の松山空港については、羽田や上海虹橋、ソウル金浦など、近隣諸国の市内空港と直接結ぶ航空便を運航する構想を語っていたが、同日は高雄空港からも、羽田、虹橋、金浦と結ぶ便を運航する考えを初めて語った。 馬総統はまた、高雄への企業の業務本部誘致促進には税率の引き下げが必須という考えを示したほか、香港証券取引所に上場している台湾企業の回帰上場に向けた関連規定の改正など、規制緩和に取り組んでいることも指摘した。
台湾は産業・所得の北部集中が進み、中部、南部の産業振興によってバランスをとることが大きな課題となっている。また、馬総統は就任以来、一貫して高雄の振興に注力する方針を示しているが、背景には独立派の地盤である南部を切り崩す意図もあるとみられる。
松山、1年後「首都空港」に
一方、松山空港は中国や日韓の主要都市と結ぶ「首都空港」になる時期として、1年後を想定しているもようだ。
毛治国交通部長は今後、桃園国際空港を、「東南アジア、欧米、オセアニア」便のターミナル空港とし、松山空港は「中国、日韓」便が中心と、両空港の棲み分けを進める考えも示している。松山空港は1日520便の離着陸が可能だが、現在は180便しか使用がなく余裕があるため、今後松山空港の国際空港としての役割が高まりそうだ。