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《新型肺炎》湖北省残留の血友病患者を救え、台湾から医薬品リレー


ニュース 社会 作成日:2020年2月11日_記事番号:T00088222

《新型肺炎》湖北省残留の血友病患者を救え、台湾から医薬品リレー

 新型コロナウイルスの感染拡大で事実上封鎖された中国・湖北省を訪れたまま、帰還できなくなってしまった血友病患者が、定期的に接種が必要な注射薬が中国では入手できないという危機的な状況に陥った。これを受けて台湾の対中窓口機関、海峡交流基金会(海基会)は高雄市の病院から航空会社や台商(海外で事業展開する台湾系企業)の協力を得てリレー方式で注射薬を届ける作戦を実施。10日早朝に無事、薬が患者のもとに到着した。

/date/2020/02/11/19kakomi_2.jpg薬を無事送り届けた荊門台商協会の簡会長(左)は、「少年の母親が焦っているのを見て、身につまされた」と語った(海基会の姚人多副董事長フェイスブックより)

 血友病患者の少年(14)は1月19日、母親とともに親族と会うため、湖北省荊門市を訪問した。その後、新型コロナウイルスの感染が拡大したことを受けて荊門市も封鎖され、自由に外部へ出ることができなくなってしまった。

 さらに今月3日、湖北省に残留している台湾市民を退避させるために運航されたチャーター便の第1弾では、大陸委員会(陸委会)が中国側に慢性病患者や高齢者などを優先的に退避させるよう求め、少年も当初は搭乗者リストに含まれていたにもかかわらず、その後、なぜかリストから削除された。

 なお同便で実際に帰台した247人の中には特に緊急度が高いとは言えない中国籍配偶者など30人余りが含まれた上、リストに記載されていなかったにもかかわらず搭乗した3人のうち1人に新型コロナウイルスへの感染が確認されたことで批判が噴出。第2弾に関する交渉が難航し、依然として運航できない状況となっている。

 なお高雄医学大学血液病防治中心の林佩瑾医師によると、少年は昨年12月から中国では入手できない注射薬を1週間に1度、皮下注射する治療方法を開始。これを中断すれば関節内や全身から出血する危険な状況に陥る可能性があるという。

 少年は、用意した注射薬を既に使い切ったにもかかわらず、台湾へ戻れるめどが立たない事態となった。これを知った海基会は急きょ、薬を荊門市まで送り届けることを決定。8日夜に関係者が少年の自宅で薬を受け取った後、すぐに台北へ向かい、9日正午ごろに待機していた華信航空(マンダリン航空)の担当者に引き渡した。

 薬を乗せた華信航空の航空機は同日午後1時ごろに桃園国際空港を出発し、午後4時に中国・河南省の鄭州新鄭国際空港に到着。薬を受け取った現地台商協会の会長は260キロメートル離れた河南省と湖北省の境界まで車を飛ばした。封鎖措置でそのまま湖北省へ入ることはできないため、薬は荊門台商協会の簡俊男会長が受け取り、さらに300キロを休むことなく車で運搬し、日付が変わった10日早朝に無事、少年のもとに届けられた。なお少年に届けられた注射薬は2週間分とのことだ。