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《新型肺炎》自宅隔離者を亀山島に、無断外出者頻出で危機感


ニュース 社会 作成日:2020年2月12日_記事番号:T00088252

《新型肺炎》自宅隔離者を亀山島に、無断外出者頻出で危機感

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、中央流行疫情指揮中心(中央流行疫情指揮センター)の統計によると現在、台湾で感染が確認された患者と接触した約400人に自宅・滞在先からの14日間の外出制限措置「居家隔離」が取られ、中国、香港、マカオに滞在歴のある約1万人に同様の措置「居家検疫」が取られている。勝手に外出して感染拡大のリスクを増大させる例が跡を絶たず、両措置の対象者を無人島に隔離すべきとの意見も浮上している。

/date/2020/02/12/19kakomi_2.jpg宜蘭県政府は、風が強いと船の運航を停止するため、医療関係者の支援や患者の移送に問題が生じると指摘した(11日=中央社)

 伝染病防治法によると、外出が禁止されているにもかかわらず、無断で自宅から出た場合、「居家隔離」対象者は罰金6万~30万台湾元(約22万~110万円)、「居家検疫」対象者は罰金1万~15万元が科せられる。今回の新型コロナウイルス発生以来、これまで「居家隔離」対象者3人、「居家検疫」対象者9人が無断外出して処罰を受けており、罰金額は計88万元に上っている。

 こうした状況に危機感を抱いたという高雄市の企業経営者が11日付の大手紙に、中国などからの帰台者など隔離措置が必要な者を集めて宜蘭県頭城鎮の東、約10キロメートル沖に浮かぶ無人島、亀山島に収容し、台湾域内の安全を図るべきとの意見広告を掲載した。

 この意見広告は大きな注目を集めたが、亀山島を管理する東北角宜蘭海岸国家風景区管理処の関係者は、同島の飲料水はミネラルウオーターに、電力は発電機に依存している他、2カ所の埠頭(ふとう)も風や波の影響を受けやすく、100トンを超える船舶は停泊できないと指摘。短期内に1万人以上を収容する態勢を整えることは不可能との見方を示した。

 また亀山島周辺海域はホエールウオッチングの名所として人気で、同島には毎年延べ12万人の観光客が訪れ、観光業の生産額は2億1,000万元に上る。このため地元自治体からも強い反対の声が上がっている。 こうした中、疫情指揮センターの指揮を執る衛生福利部(衛福部)の陳時中部長は、「亀山島を収容エリアにすることは難易度が高く、大きな効果も期待できない」と否定的な認識を示した。

 ただ陳部長が「無断外出の常習者の場合は(亀山島への収容)を検討もよい」とこぼしたように、規則違反には手を焼いているようだ。隔離措置対象者は、これ以上のパニックを引き起こさないよう自制してほしいものだ。