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《新型肺炎》「中国帰り」で乗車拒否、深夜に徒歩40キロ


ニュース 社会 作成日:2020年2月13日_記事番号:T00088272

《新型肺炎》「中国帰り」で乗車拒否、深夜に徒歩40キロ

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、今月9日夜に台湾の離島と中国を結ぶ海運航路「小三通」経由で、離島の金門から空路で台中国際空港に到着した男性が、「中国帰り」を理由にタクシーやバスの乗車を拒否され、仕方なく雲林県の実家まで約90キロメートル弱の道のりを歩いて帰ろうと決断した。

 台商(海外で事業展開する台湾系企業)関係者のこの男性は、「小三通」航路のフェリー運航が全面停止となる1日前の9日に中国から金門に到着。その後、台中へ向かうこの日最後の航空便に搭乗した。

 台中に着き、空港から出たのは午後9時すぎ。迎えに来た兄の運転で実家へ戻るつもりだったが、ここで兄弟げんかが勃発。怒った兄は夜の空港に男性を残して去ってしまった。

 そこで男性はタクシーか長距離バスで帰ろうと考えたが、運転手から「どこから来た?」と聞かれ、正直に「中国から帰った。雲林県元長郷へ戻るところ」と答えると、一様に乗車を拒絶された。

 他に方法がなくなった男性は、徒歩で省道台17線を南へ向かうことに。夜間の道路を重いスーツケースを引きずりながらとぼとぼと歩き続け、彰化県に入り伸港郷、和美鎮と通過したが、10日午前9時ごろ、約40キロ進んだ渓湖鎮まで到達したところで力尽きた。

 これ以上歩けなくなった男性は地元の鎮公所(役場)へ出向き、助けてほしいと願い出た。彼の口から「中国から帰った」と聞いた受付担当の女性職員は驚いて身を隠したが、事情を聞いた渓湖鎮の黄瑞珠鎮長が警察に連絡。さらに警察を通じて男性の故郷、元長郷の郷公所と雲林県衛生局に協力を要請した結果、元長郷公所が車で男性を実家まで送り届けることとなり、無事、帰郷を果たした。

 なお男性は現在、自宅からの14日間の外出制限「居家検疫」の措置を受けているが、症状は出ていないという。