15日の台湾株式市場は、米政府系住宅金融機関2社の信用不安問題から金融銘柄を中心に幅広く売られ、加権指数は一挙に322.72ポイント(4.51%)下落。終値は6,834.24ポイントと、2006年10月以来1年9カ月ぶりに7,000ポイントを割り込んだ。米住宅金融機関問題では彭淮南中央銀行総裁が14日、「準政府機関といえる存在であり、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題とはイコールではない」と火消しの談話を行っていたが全く効果がなかった。
株価速報が下落を示す緑一色になるのは、最近では見慣れた光景になった。投資家はもうお手上げ状態といったところだ(15日=中央社)
15日は米連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵抗公社(フレディマック)の債券などに2,000億台湾元(約7,000億円)の投資を行っている国泰人寿保険の親会社、国泰金融控股がストップ安になるなど、金融銘柄が大幅安。これに引っ張られる形で電子や鉄鋼、石油化学、建設、運輸など全セクターで値を下げた。出来高は1,075億1,600万元だった。
国有化報道が引き金
米2社については、米国政府が国有化を検討しているという米メディアの報道から「サブプラ問題で新たな『地雷』になる恐れもある」という見方が広がり、金管会は11日、2社への投資の実態を明らかにするため、域内金融機関への全面的な点検を行う方針を表明していた。
これによって週明け14日は金融株が下落。このため彭中銀総裁が、▽米2社の住宅ローン実行額はわずか41万7,000米ドル以下で内容は健全▽役員の半数以上が大統領に指名されており、準政府機関的な性格を持つ▽発行債券の評価は米国債に次いで高い──などの評価理由を挙げ、域内金融機関が持つ2社の債券について「絶対に問題はない」と強調していた。米国政府もポールソン財務長官が、必要に応じて公的資本の注入で資本増強を図るという緊急声明を出すなど、相次いで支援策を打ち出しているが、現段階では市場の懸念が払拭されるには至っていないようだ。
投資額は約7千億元
金管会の現段階の調査によると、2社の商品に対する域内金融機関の投資額は約7,000億元で、内訳は銀行約2,000億元、保険会社約5,000億元とみられている。
07年8月に明るみになったサブプラ問題では、台湾金融機関の累計損失額は425億7,200万元で、このうち銀行が約8割の341億7,200万元を占め、保険会社の損失額は84億元となっている。それぞれ総資産に占める割合は銀行0.1%、保険業0.09%で、影響は限定的だ。