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『壱週刊』廃刊、19年の歴史に幕


ニュース 社会 作成日:2020年2月27日_記事番号:T00088559

『壱週刊』廃刊、19年の歴史に幕

 有力週刊誌『壱週刊』(ネクスト・マガジン)が29日に廃刊する。2001年に創刊し、政治家など著名人のスクープ報道を数多く世に送り出してきた。広告量減少による経営悪化で18年に紙媒体の発行を中止し、電子版に移行していたが、26日発売の最新号を最後に出版をとりやめ、19年の歴史に幕を下ろす。

 『壱週刊』は香港メディア大手の壱伝媒(ネクスト・メディア)が01年に創刊。それまで台湾のメディア界でタブーとされていたセンシティブな話題や、著名人のスキャンダルなどをはばかりなく取り上げる週刊誌として人気を得てきた。一方、著名人のプライバシーをさらしたり、取材のために関係者を執拗(しつよう)に追い回したりするあしき習慣をメディア界に持ち込んだという負の評価もある。

 最新号では「壱週刊の19の秘密」と題し、過去19年間に報じたスクープの裏事情などを紹介している。02年3月、李登輝元総統が在任中に機密費を横領したとするスクープ記事(後に無罪確定)を掲載しようとした際、担当記者が掲載を阻止したい国家安全局の幹部に「いくら欲しいんだ」と尋ねられたエピソードが明らかにされている。同スクープは最終的に報じられ、記事掲載号は32万部売れた。これは台湾の雑誌の販売部数として現在でも最多記録だ。

 この他、『壱週刊』は昨年11月、国民党の総統選候補、韓国瑜高雄市長が11年に台北市南港区の高級住宅「無双(現在は日升月恒に改称)」の物件を7,200万台湾元(約2億6,000万円)で購入していたことを報じた。韓氏の「庶民派」イメージが崩壊し、選挙戦にも影響を与えたスクープとなったが、最新号では韓氏支持者を身内に持つ担当記者が署名記事としての掲載を決意するまでの葛藤も描かれている。

 『壱週刊』は廃刊に当たり、「これまで成功も失敗もあったが、読者に最高のニュースを届けたいという思いが変わることはなかった。権力を恐れず、真実を伝えようとする壱週刊の精神がいつまでも生き続けることを願う」とつづった。