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《新型肺炎》新型コロナウイルス、初の院内集団感染(トップニュース)


ニュース 社会 作成日:2020年3月2日_記事番号:T00088577

《新型肺炎》新型コロナウイルス、初の院内集団感染(トップニュース)

 台湾の感染症対策本部、中央流行疫情指揮中心(中央流行疫情指揮センター)は29日、新型コロナウイルスの初の院内集団感染が発生したと発表した。感染者の患者1人から医療関係者ら4人に感染した。台湾での感染確認は、2日時点で累計41人(うち死者1人)に上る。このうち、台湾での感染経路の判明していない事例が3事例に上っており、同センターは市中感染拡大を示す「市中伝播(でんぱ)」の4条件のうち2条件が合致したとして警戒を強めている。2日付中国時報などが報じた。

/date/2020/03/02/00top_2.jpg院内集団感染を受け、ウイルス専門家の張上淳氏は、清潔でない手でうっかり顔を触ったことが原因との見方を示し、医療従事者や清掃要員のマスク着用を徹底するよう助言した(29日=中央社)

 院内感染が発生したのは北部の病院。28日に感染が確認された桃園市居住の50代女性(第34例)が感染判明前に接触していた清掃要員1人(第35例)と看護要員3人(第36〜38例)の感染が29日になって確認された。第34例の女性自身に最近の海外渡航歴はなく、院内で感染した疑いがある。

 これら5人と接触した医療関係者76人は検査で全員の陰性が確認された。医療関係者以外の接触者209人のうち、115人は陰性だった。中央流行疫情指揮センター指揮官の陳時中衛生福利部(衛福部)長は、危機はまだ去っていないものの、第1の関門は守られたとの見方を示した。同病院の感染症病棟は閉鎖され、院内の消毒や患者の安全区域への移送が行われた。陳指揮官は、記者会見でうっかり「林口」という地名を口にしたが、その後地名については無視するように述べ、回答を避けた。

 この他で2月28日〜3月1日にかけて感染が確認されたのは、▽2月17〜22日に大阪などへの団体ツアーに参加した北部の30代男性(第33例)▽1月29日〜2月21日にアラブ首長国連邦(UAE)ドバイとエジプトへの団体ツアーに参加した北部の60代女性(第39例)▽クルーズ客船「ダイヤモンド・プリンセス」で感染し、日本での治療と陰性確認後に帰台し、その後の検査での再陽性となった北部の70代女性(第40例)──の3人。

 同センターは2日、女性(第34例)を見舞った娘(20代、第41例)の新型コロナウイルス感染を確認したと発表した。最近の海外渡航歴はなかった。

域内症例が輸入症例超え

 陳指揮官は、市中感染拡大を示す「市中伝播(でんぱ)」の4条件のうち、「感染経路が不明な確定診断事例がある」と「台湾域内症例が海外からの輸入症例の数を上回る」の2条件が既に満たされていると指摘した。感染者3人の感染経路が不明となっている他、台湾域内症例22人が輸入症例19人を上回っている。一方、残る「持続的で連続性のある感染連鎖」と「広範囲でのクラスター感染発生」の2条件は満たされていないと分析した。

 海外渡航歴のない複数の市民の感染を受け、同センターは医師による新型コロナウイルスの疑い例の通報と感染検査の範囲を、海外渡航歴のない患者にも拡大した。

 台湾大学医学院附設医院(台大医院)児童感染科の黄立民主任は、「健康な人はマスクをつけなくて良い」とする政府の政策は見直す段階に入ったと指摘した。世界の感染確認例のうち8割以上が無症状感染者のため、マスクをつけることで感染するリスクを減らすことができるとの立場だ。

 世界保健機関(WHO)は28日、新型コロナウイルスの地域別危険性評価を世界全体で、中国と同じ最高レベル「非常に高い」に引き上げた。一方、パンデミック(世界的大流行)には至っていないとしている。2日時点での世界の感染確認は8万8,890人、死者は3,041人に上る。