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《新型肺炎》大甲鎮瀾宮の媽祖巡行、一夜で一転延期決定


ニュース 社会 作成日:2020年3月2日_記事番号:T00088593

《新型肺炎》大甲鎮瀾宮の媽祖巡行、一夜で一転延期決定

 3月19日~28日に予定通り開催するとされていた台湾有数の宗教イベント「大甲媽祖遶境」は27日、一転して延期することが決まった。同イベントの責任者は、新型コロナウイルスの急激な感染拡大のきっかけになりかねないとの懸念が高まる中、政府からの電話連絡を受け、方針を転換した。

 大甲媽祖遶境は、台中市大甲区の道教廟(びょう)、大甲鎮瀾宮に祭られる媽祖像を神輿(みこし)に乗せて信徒が担ぎ、約340キロメートルを練り歩く儀礼だ。毎年100万人を超える信徒が参加する。

 大甲鎮瀾宮の顔清標董事長は、中央流行疫情指揮中心(中央流行疫情指揮センター)指揮官の陳時中衛生福利部(衛福部)長から26日午後3時ごろ電話連絡があり、善後策を話し合った結果、感染症の専門家としての陳部長の意見を受け入れ、延期を決めたと説明した。顔董事長は同日午前中、大型の宴会や媽祖の生誕祭など大勢が集まるイベントは中止するが、巡行自体は予定通り実施すると表明したばかりだった。ただ一方で、政府から巡行の中止または延期を命じられた場合はこれに従うとも語っていた。

 顔董事長はまた、占いで延期について媽祖にお伺いを立てたのかという記者の質問に対し、「媽祖から予定通り実施せよと言われたらどうするのか」と指摘。焼香で結果を報告するにとどめたと説明した。

 大甲媽祖遶境はこれまで、▽1945年、第2次世界大戦▽47年、国民党政府による台湾住民弾圧事件「228事件」▽75年、蒋介石総統の死去──の3度中止となった。また23年には日本脳炎の流行により延期されており、今回は2度目の延期だ。

 大甲鎮瀾宮の決定に、各界から評価する声が上がっているが、毎年このイベントを心待ちにしている信徒は失望の色が隠せない。これに対し顔董事長は、「中止ではなく延期」と強調。大甲鎮瀾宮側は延期後の実施時期については、感染拡大が収束した後に決定すると説明し、媽祖が亡くなり、神となった旧暦9月9日(2020年は10月25日)までならいつでも実施可能との考えを示した。