米インテルが15日、新世代モバイル向けプラットフォーム「セントリーノ2(Centrino 2)」を発売した。同プラットフォーム搭載で、来年発売予定のノート型パソコン(ノートPC)新機種の生産委託先も、7月下旬には相次いで明らかになる見通しだ。今年は鴻海精密工業とフレクストロニクス・インターナショナルの2大EMS(電子製品受託製造サービス)メーカーがノートPCに参入しており、今後同製品の委託生産勢力図が書き換えられる可能性もある。16日付工商時報などが報じた。
消費電力28%減
「セントリーノ2」は、45ナノメートル「Core 2 Duo」プロセッサ搭載で、高画質(HD)機能をサポート、1世代前の製品より消費電力を28%削減した。インテルではブルーレイ・ディスク(BD)を連続2時間再生することができるとうたっている。また無線ネットワーク規格は802.11nを採用し、通信速度は5倍、通信距離は2倍に向上した。WiMAX(ブロードバンド無線技術)版も今後発売する予定だ。
米ヒューレット・パッカード(HP)、デル、宏碁(エイサー)、聯想集団(レノボ)、富士通など多くのブランドが採用を決めており、業界関係者は大手ブランドの支持を受け、来年は802.11n規格がノートPCの主流となると予測している。
来年新機種の委託先は?
現在ノートPC受託生産最大手の広達電脳(クアンタ・コンピュータ)は、HPおよびアップルを2大顧客としており、今年の出荷台数は4,000万台と見積もっている。2位の仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)はデルのビジネス向けモデル、3位の緯創資通(ウィストロン)は、同じくデルのコンシューマ向けモデルを主な受注先とする。アナリストは今年、英業達(インベンテック)の受注獲得力を評価しており、同社がデルのサプライチェーンに加わり、HPもコンシューマ向け機種を発注するとみている。
今年は鴻海とフレクストロニクスのEMSメーカーが同市場で勢力を伸ばしており、鴻海は現在デルのコンシューマ向け機種数タイプおよびビジネス向け低価格ノートを受注しているとされ、フレクストロニクスも昨年華宇電脳(アリマ・コンピュータ)から買収したノートPC部門を基礎に、数タイプのゲーム仕様のノートPCを受託している。さらに同社は最近HPから主流機種も受注したと宣言した。
ただ業界関係者によると、これまでEMSメーカーが受託したと伝えられる製品は、ほとんどが販売地域が限定された機種や特殊な機種に属するもので、ノートPC受託生産市場の勢力図に実質的な影響を及ぼすものではなかったという。しかし工商時報では、来年発売予定の新機種の受託動向次第では、市場に大きな変化が起きる可能性もあると指摘する。
レノボ新機種が最安
「セントリーノ2」発売を受け、ノートPC各ブランドは第3四半期、相次いで新機種を発売する。ノートPC産業は今年、中国での労働コストや部品価格の上昇に直面しており、価格引き下げ能力は例年よりも低下している。各ブランドの「セントリーノ2」搭載ノートPC新機種の価格も上昇しており、一貫して高価格帯を維持してきた富士通は新機種をすべて5万元以上とするほか、華碩電脳(ASUS)の新機種も4万6,800元前後、その他ブランドも2,000~3,000元の引き上げとなるもようだ。
そんな中、今年コンシューマ向け市場で積極的な展開を見せる聯想集団(レノボ)は逆に、Ideapadのシェア拡大を目指し、「セントリーノ2」搭載14.1型「Y430」を3万900元の最低価格で発売する。同業者によると、「Y430」に採用する「P7350」は「セントリーノ2」の特殊規格でコストは比較的安いが、その他部品コストの値上がりを考えるとレノボがシェア獲得にいかに野心を燃やしているかが分かるとしている。