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《新型肺炎》マスク生産ライン増設、沈経済部長が陰の立役者


ニュース 社会 作成日:2020年3月11日_記事番号:T00088775

《新型肺炎》マスク生産ライン増設、沈経済部長が陰の立役者

 新型コロナウイルス感染拡大に対する懸念が高まり始め、市中で医療用マスクの供給不足が深刻化する状況に直面し、台湾政府は2月初旬、生産ライン60本を増設すると表明した。その後、わずか1カ月弱で完成させたスピーディーな任務達成の背後には、産業界と密に連絡を取り合い、寝る間も惜しんで尽力した沈栄津経済部長(69)の存在が欠かせなかったようだ。

/date/2020/03/11/19chen_2.jpg沈経済部長。マスク実名制販売の購入可能枚数増加は、産官連携によるマスク増産が支えている(5日=中央社)

 医療用マスクの需要急増を受け、台湾域内の供給確保のため、経済部は早くも1月24日、医療用・外科手術用マスクと、ろ過効率の高い「N95」規格マスクの輸出を禁止した。それでも供給が追い付かないことから2月6日、マスクの購入に特約薬局での全民健康保険カード(健保カード)など身分証明書提示を求める実名制(本人確認)販売を導入した。同時に域内におけるマスクの日産能力を1,000万枚に高めるため、1カ月以内に日産10万枚の生産ライン60本を増設する計画を発表した。

 本来、同規模の増産には半年を要するとされるが、1カ月で完了させよとの命を受けた沈経済部長は、マスクメーカーや工作機械メーカー、工業技術研究院(工研院、ITRI)、金属工業研究発展中心(MIRDC)といった研究機関を結集して「国家チーム」を結成。自らも早朝から深夜まで現場に缶詰め状態で指揮を執った。

 今月5日に見事、生産ライン60本を増設が完了。台湾のマスク生産能力は中国に次いで世界2位となったとされる。

 工作機械業界団体、台湾区工具機零組件工業同業公会(TMBA)の許文憲理事長は沈経済部長について「普段から企業と緊密な関係を築いて支援してくれている」と語った。「必要な時に連絡がつかない」と企業にとって不満がある省庁もあるが、「経済部に限っては、そうした不満はあり得ない」とたたえた。

 今回の「ミッション・インポッシブル」も産業界と沈部長の日頃の信頼関係があったからこそ実現できただろう。

 行政院は2月末、さらに32本のマスク生産ラインを増設すると発表。蔡英文総統は10日、「3月末に搬入できる」との見通しを示した。