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《新型肺炎》出入境ほぼ全面制限、航空・旅行会社存続の危機(トップニュース)


ニュース 運輸 作成日:2020年3月19日_記事番号:T00088926

《新型肺炎》出入境ほぼ全面制限、航空・旅行会社存続の危機(トップニュース)

 新型コロナウイルス感染拡大で世界的に人の移動が制限される中、台湾はきょう19日より外国人の入境を原則禁止した。交通部観光局は18日夜、4月末まで海外団体ツアーの催行を中止するよう旅行会社に求めた。インバウンド(訪台旅行者)とアウトバウンド(海外旅行者)がほぼゼロとなる中、専門家は、政府が支援しなければ、航空各社、旅行会社、宿泊施設の6割以上が倒産すると警告した。19日付経済日報などが報じた。

/date/2020/03/19/00airline_2.jpg台湾人の海外からの退避は1万人と予想され、一段落すれば、航空便の取り消しがますます増えそうだ(18日=中央社)

 中華航空(チャイナエアライン)は同日の董事会で、100億台湾元(約360億円)の無担保社債の発行を決議した。証券会社は、下半期も新型コロナウイルス感染症の発生状況が改善しなければ、中華航空は今年の赤字が200億~300億元に拡大すると予測した。

 中華航空は、ほぼ通常通り運航しているが、今後については検討していると説明した。

 長栄航空(エバー航空)は、海外にいる台湾人旅客や留学生の退避のため、できる限り運航を維持すると表明した。ただ、今後は必要な運航調整を行うと説明した。

 中華航空傘下の格安航空会社(LCC)、台湾虎航(タイガーエア台湾)は、日本、タイをはじめアジア各地の運航取り消しを発表した。日本線の取り消しは同社の通年運航便数の約7.1%を占める。

 1月下旬に新規就航したばかりのフルサービスキャリア(FSC)、星宇航空(スターラックス・エアラインズ)は、4月末までの全面運休を発表した。

救済措置に300億元

 中華航空、エバー航空、スターラックスはいずれも、政府に融資を申請したいと表明した。業界関係者は、外国人の台湾入境の原則禁止は、航空業界にとって痛恨の一撃だと指摘した。旅客数の減少に伴い、融資だけでは追い付かず、スリム化による人件費削減が迫られると予測した。

 林佳龍交通部長は18日、台湾の航空6社の救済措置に300億元以上が必要と述べた。交通部は今週、救済措置の追加案を提出する予定だ。

行業界、廃業ラッシュも

 周永暉・交通部観光局長は18日夜にフェイスブック(FB)で、旅行会社に対し4月末まで海外の団体ツアー受け入れ、海外団体ツアーの送客を中止するよう通知したことを明らかにしていた。

 旅行業界関係者は、4月末というのは楽観的な見方で、このまま5月まで新型コロナウイルス感染が収束しなければ、売上高はゼロとなり、「減班休息」(景気を理由とした労働時間削減。いわゆる「無給休暇」。実際には有給を含む)、人員削減に続き、廃業が相次ぐと語った。

 新型コロナウイルスの海外旅行感染症情報レベル3(警告、不要不急の渡航は中止)が100カ国・地域に拡大し、喜鴻旅行社に続き、▽雄獅旅行社(ライオン・トラベル・サービス)▽可楽旅遊(Colaツアー)▽東南旅行社(SET)▽易遊網(ezトラベル)──など旅行会社大手はいずれも4月末までの海外団体ツアーの催行中止を発表した。Colaツアーは、4月末までに出発の団体ツアー、フリープラン、航空券、宿泊などの予約取り消しで、売上高50億元が消えたと明かした。最大手、ライオントラベルの游国珍総経理は、5~6月分の申し込みも受け付けていないと明かした。

 静宜大学観光事業学系の黄正聡副教授は、売上高がほぼゼロで、運転資金も不足し、政府が支援しなければ、航空各社、旅行会社、宿泊施設の6割以上が倒産すると指摘した。特に航空会社が倒産すれば、国家にとって大きな損失だと語った。