ニュース 社会 作成日:2020年3月23日_記事番号:T00088982
中央流行疫情指揮中心(中央流行疫情指揮センター)は20~23日、新型コロナウイルスによる台湾で2人目の死者が出た他、新たに計87人の感染を確認したと発表した。海外で感染したとみられる輸入症例が大部分。ただ、最高学術研究機関の中央研究院(中研院)で4人、行政院環境保護署(環保署)で職員1人、介護施設で看護師1人が感染しており、これまでに看護師を含む6人の感染経路が不明だ。海外から台湾人の退避が相次ぐ中、集団感染や市中感染のリスクが高まっている。中央社電などが伝えた。
桃園市政府は介護施設の消毒を実施した。台南市や南投県では、介護施設への入居者家族の見舞いなどが一時制限・禁止された(22日=中央社)
23日までに台湾での感染確認者は累計195人(死亡2人)、うち輸入症例は158人となった。2人目の死者は新北市の80代男性(第27例)で、糖尿病、高血圧、腎不全で透析を受けるなど基礎疾患があった。感染確認後、重症だったため、集中治療室で治療を受けていたが、敗血症性ショックで死亡した。
20~23日の感染確認は▽20日、27人▽21日、18人▽22日、16人▽23日、26人──で、うち20日の3人、22日の3人、23日の1人を除く80人が海外で感染したとみられる輸入症例だった。
22日の輸入症例のうち1人は環保署の職員で、エジプト団体旅行から帰台後、すぐに登庁していたことが明らかとなった。環保署の張子敬署長は23日、同職員のオフィスは1階にあり、業務はシンプルで、他の職員と接触する機会は少なく、感染リスクは低いと語った。
中研院300人テレワーク
感染が確認された中研院の研究員3人(いずれも30代。第124例男性、第168例ドイツ籍男性、第169例オーストリア籍女性)はいずれも最近の海外渡航歴がなく、感染元は3人が所属する研究チームの指導官の50代男性(第160例)とみられる。男性(第160例)は1~10日に会議のため米国を訪れていた。帰台後14日に頭痛で医療機関を受診、研究員らは17日に症状が出ていた。23日には、男性(第168例)と同居の30代女性(第186例)の感染も確認された。
中央流行疫情指揮センターは中研院での集団感染の発生を受け、同じ研究室の16人を外出制限「居家隔離」とし、ウイルス検査を実施した。他25人にも「自主健康管理」(手洗い、外出時のマスク着用、公共の場所への出入りを控えるなど)の措置を取った。
中研院は22日、この研究チームが籍を置くビルの全面消毒を実施した他、同ビルで働く300人全員について翌23日より2週間、テレワーク(リモートワーク、在宅勤務)に切り替えると説明した。
高齢者多い介護施設で
22日に感染が確認された介護施設の看護師(20代女性、第156例)は、最近の海外渡航歴がなく、感染経路が不明だ。12日に発熱などの自覚症状があり、16日と20日に医療機関を受診した。この間、13、14、18日に施設に出勤していた。
桃園市政府衛生局は、この看護師が働く施設での大規模な集団感染発生の可能性を考慮し、入居者53人と従業員28人についてウイルス検査を実施し、全員の陰性を確認した。入居者は医療機関や集中検疫施設に移送し、従業員には「居家隔離」措置を取っている。
中央流行疫情指揮センター指揮官の陳時中衛生福利部(衛福部)長は、入居者はいずれも高齢で、感染すれば重症化する可能性が高く、隔離措置、経過観察、消毒などの対応が重要だと強調した。
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