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CSC高炉点検前倒し、来年2月再稼働へ(トップニュース)


ニュース 鉄鋼・金属 作成日:2020年4月8日_記事番号:T00089271

CSC高炉点検前倒し、来年2月再稼働へ(トップニュース)

 政府系鉄鋼最大手、中国鋼鉄(CSC)の翁朝棟董事長は7日、第2高炉を停止して行う5カ月間の大型設備点検・更新を、従来の10月開始予定から8〜9月開始に前倒しすると明らかにした。来年2月の再稼働を目指す。同社は、第2四半期から高炉4基の輪番での5%減産を予定していた。第2高炉点検の前倒しで需給バランスを安定化させる他、新型コロナウイルスの世界的な感染収束後の鉄鋼需要増に備える狙いだ。8日付工商時報などが報じた。

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 同社は第2高炉の大型設備点検・更新に63億7,000万台湾元(約230億円)を投じる。年産計画量は252万トン。設備点検に備え在庫積み増しを進めており、出荷に柔軟に対応できるようにする。翁董事長は、再稼働時期の前倒しで、市況好転時に同社が有利になると指摘した。

 インドの輸出向け熱延製品が1トン当たり400米ドルを下回っていることについて翁董事長は、新型コロナウイルス感染拡大によるインド政府の封鎖措置で国内需要が減少しているためで、400米ドルでは生産コストを下回るので同社は追随しないと説明した。同社はさまざまな対応策で、川下の大口顧客の受注獲得を支援していくと語った。

 同社は、4月の台湾域内向け受注は横ばいだが、輸出向けは各国での封鎖措置により減少する見通しで、減産により価格を維持する構えだ。翁董事長は、最大の問題は鉄鋼市場がパニックに陥り、様子見ムードが広がることと指摘し、海外の低価格製品に市場を思い通りにさせないと語った。

 翁董事長はまた、世界最大手アルセロール・ミッタルや、日中韓の鉄鋼メーカーが相次いで減産に動いていることも、需給バランスの安定化に資すると述べた。

鉄鋼市場、V字回復予測

 翁董事長は今後の見通しについて、4月末とされる中国での感染収束見通し、電気自動車(EV)大手のテスラ上海工場での受注好調、台湾のねじ・ハンドツール業界への転注の他、台湾政府の1兆元規模の経済救済策、米国の2兆米ドル規模の経済対策が好材料と指摘した。

 新型コロナウイルスの影響について翁董事長は、▽重症急性呼吸器症候群(SARS)▽米同時多発テロ事件▽世界金融危機──を合わせたに等しい世界経済への悪影響があると語った。一方で、感染収束後には、世界経済の大規模な好転で自動車業界も含めた鉄鋼需要が急増し、鉄鋼市場はV字回復すると予測した。

 同社は感染拡大防止のため早くから対応計画策定を進めており、感染状況が悪化すれば、出勤時間の分散やテレワーク(リモートワーク、在宅勤務)など必要な措置を取ると説明した。

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