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《新型肺炎》伊神父「故郷を助けて」、1週間で寄付金1.5億元


ニュース 社会 作成日:2020年4月8日_記事番号:T00089295

《新型肺炎》伊神父「故郷を助けて」、1週間で寄付金1.5億元

 新型コロナウイルスの感染状況が深刻なイタリア出身で、50年以上にわたり台湾で活動を続ける神父のディドーネ・ジュゼッペさん(80)が今月1日、涙ながらに「故郷を助けてほしい」と訴える姿がテレビなどで報じられると、見る見る募金が集まり、わずか1週間で1億5,000万台湾元(約5億4,000万円)に達した。

/date/2020/04/08/19kakomi_2.jpgジュゼッペ神父は、55年前に自分を台湾に連れてきてくれた神に感謝すると述べた(5日=中央社)

 ジュゼッペ神父は病人に仕えるローマ・カトリック教会の修道会「カミロ修道会」の一員として1965年に来台。その後、55年の間、台湾での暮らしを続け、中国語と台湾語も流ちょうに話し、「自分は台湾人」と認識している。2017年には中華民国の国籍も取得。現在は宜蘭県の羅東聖母医院で董事長を務めている。

 ジュゼッペ神父は、新型コロナウイルスがイタリアで猛威をふるい始めた3月初旬、カミロ修道会本部に連絡を取った。同修道会がミラノで運営する5カ所の病院と2カ所の老人ホームでは政府からの感染防止用の物資配布が受けられず、多くの患者や患者を介護する聖職者が死亡している状況を知った。

 その後もイタリアでは事態がさらに深刻化し、現在も1日に500人以上が死亡する状況が続いている。今月1日、ジュゼッペ神父がメディアを通じ、台湾の市民にイタリアを救ってほしいと訴えたところ、羅東聖母医院には同医院や聖職者から長年受けた恩を返そうと地元市民が募金に押し寄せた。

 その中には1週間分の収入に当たる800元を手にした80代の野菜売りの女性、孫の貯金箱2つを抱えた男性、車椅子に乗った末期がん患者の姿もあり、病院職員の涙を誘った。

 こうして募金額は、2日間の地元住民による小額寄付だけで200万元に上った。その後も、支援の輪は台湾全土に広まり、銀行振り込みやインターネットを通じた寄付を合わせると1億2,000万元に達した。

 ジュゼッペ神父は6日夜、「寄付金の額、件数に驚いている」と語り、当初15日までとしていた募金活動を打ち切ると表明した。「ありがとう台湾、十分過ぎる寄付が集まった。ここは本当に良い人のいる素晴らしい場所だ」と記した感謝状を発表した。

 それでも7日朝も寄付は止まらず、募金額は1億5,000万元まで膨れ上がった。ジュゼッペ神父は「集まった寄付金は既に、われわれが医療物資を準備して輸送する能力を超えている」と説明。その上で、こうした台湾社会のやさしさこそが、自分がここに一生とどまろうと思う理由だと語った。