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《新型肺炎》台中市、ナイトライフ産業に身分確認義務付け(トップニュース)


ニュース 社会 作成日:2020年4月10日_記事番号:T00089333

《新型肺炎》台中市、ナイトライフ産業に身分確認義務付け(トップニュース)

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、従業員による接待が行われるキャバクラ・ホストクラブと舞踏ホールに対し、中央流行疫情指揮中心(中央流行疫情指揮センター)から全面的な営業停止が要請された9日、台北市中山区の歓楽街、林森北路には過去40年で初めてといわれる静かな夜が訪れた。台中市政府は同日、中央が営業継続を認めるナイトクラブ、バー、カラオケボックス(KTV)などの他の特殊産業に対して、感染経路把握を容易にするため顧客の身分確認を独自に指示した。台南市も追随する姿勢だ。身元が割れることへの顧客の抵抗感は強く、ナイトライフ産業の客足がさらに遠のくことが予想される。10日付蘋果日報などが報じた。

/date/2020/04/10/00top_2.jpg台北市の黄副市長(右2)は9日、警察とともに営業停止中のキャバクラを査察に訪れた(9日=中央社)

 台中市政府経済発展局(経発局)は、同市の十大特殊産業の▽カラオケ業▽サウナ業▽酒接待飲食業▽バー業▽パブ・ビアホール業▽特殊喫茶室業▽ナイトクラブ業▽舞踏ホール業▽ダンスホール業▽ゲームセンター業──のうち、営業禁止が要請されていない業者には、入店時に顧客に実名を記入させることを義務付けると説明した。1.5メートルの社会的距離(ソーシャルディスタンス)の確保、マスク着用も求める。違反に対する指導後も改善されない場合、伝染病防治法(感染症予防治療法)により、業者に罰金3,000~1万5,000台湾元(約1万800~5万4,000円)を科す。

 同市の盧秀燕市長は、特殊産業は客との距離が近く、感染対策を強化する必要があるが、3月に一時休業に協力した業者の一部が、清明節連休(2〜5日)後に営業を再開していると指摘した。

 台南市の黄偉哲市長は、営業禁止が要請されていない八大特殊産業での身分確認導入を支持すると表明した。高雄市政府は、八大特殊産業の対象は広いため、13日の防疫会議で身分確認導入などの是非を検討すると説明した。

 一方、台北市の黄珊珊副市長は、関係機関合同での査察と指導に重点を置く方針を示した。新北市は、台中市に追随しないと表明した。桃園市は、中央政府の規定に従う方針だ。

 台中市のあるキャバクラの常連客は、店では「董事長」「総経理」といった仮の肩書で呼び合ったり、公務員をこっそり接待したりするため、女性従業員に詳細を知られたくないと明かした。別の消費者は、業者が個人情報を保護すると確信できないため、当面キャバクラ通いを控えると話した。

 台北市中山区の林森北路の近くに住む男性によると、9日夜は前日より多くの店舗が閉店の措置を取っていた。台北市政府警察局中山分局によると、同管内のキャバクラは600軒に上る。台北市には台湾全土の3分の1、中山区には6分の1以上が集中しているとされる。

地下化の懸念も

 警察関係者は、キャバクラや舞踏ホール業者がKTVや中小のクラブを利用し隠れて営業している、営業停止が要請されていない業種がキャバクラの客の獲得に乗り出しているとの情報があり、感染対策の抜け穴になりかねないと指摘した。

 あるキャバクラの女性従業員は、営業停止で収入が絶たれ、救済策も期待できないため、簡易旅館やKTVでの接待に切り替えなければならないと指摘。やむを得ず売春に手を出すことにもなりかねないと苦しい胸の内を明かした。