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中国QDIIの台湾投資、8月にも開放


ニュース その他分野 作成日:2008年7月18日_記事番号:T00008942

中国QDIIの台湾投資、8月にも開放

 
 中国の適格国内機関投資家(QDII)による台湾株式への投資が、早ければ8月にも開放される見通しだ。行政院金融監督管理委員会(金管会)の陳樹主任委員が17日、同月に予定している中台間の投資規制緩和に合わせて実施したいという意向を示した。暴落した台湾株式市場の回復の呼び水として期待をかけているが、18日付経済日報は、中国の政策的協力やQDIIファンドマネージャーの投資意欲が不可欠として、台湾株式市場を上昇させる効果には疑問を投げ掛けている。
 
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陳樹金管会主委(中央)。金融の大幅開放により、台湾をアジア太平洋の金融センターに成長させる目標を描いている(中央社)
 
 経済日報によると、QDIIの投資額上限は、中国と覚書(MOU)を結んだ地域に対してはファンド全体の10%だが、結んでいない場合は3%だ。金管会はMOU締結を待たずして開放に踏み切る方針で、陳主委によると、QDIIファンドの規模は5月時点で5,500億台湾元(約1兆9,400億円)のため、この3%に当たる約160億元の台湾株への投資が見込めるという。 

 開放によって台湾企業の経営権が中国資本に握られる恐れもあるという懸念に対し陳主委は、「上場公開企業に対する持ち株比率が10%になった場合は申告が義務づけられている。大陸(中国)資本も外資と同じ扱い」と述べて打ち消した。

「中国の政策方針が優先」
 
 QDIIの台湾株式に対する投資開放は、6月26日に行政院が発表した中台間の金融規制緩和方針にも盛り込まれており、時期や方式はともかく実現する可能性は高い。

 しかし、経済日報は、中国が2006年4月にQDIIの海外投資を開放したのは、当時の強い人民元切り上げ圧力の下、国内の余剰資金を海外に還流させて圧力の緩和を狙った通貨政策上の目的があったとした上で、「人民元の下落圧力が強まり緊縮局面となれば、QDIIの海外投資を放任したままにするか疑問だ」として、中国の政策方針が台湾の意向によって左右されるはずがないと指摘した。

 また、ファンドマネージャーが台湾株を投資対象としてどのようにとらえるかも投資額の多寡にかかわってくるとして、域内金融機関や一般投資家に過度の期待は禁物と呼び掛けた。 

台湾上場の資格を緩和
 
 金管会は今後の中台間の金融面における規制緩和案として、▽台湾株式市場への上場資格の緩和▽株式市場などで募集した資金に設けられている中国投資規制の緩和──を検討している。株式市場では現在、▽中国企業▽中国資本が20%以上の企業▽中国に純資産の40%以上を投資している企業──の上場が禁じられている。

 また、外国企業が台湾市場への上場または台湾預託証券(TDR)の発行で集めた資金は、現在全く中国に投資できないが、今後これを解禁していく。

 金管会は、次回の海峡交流基金会(台湾)と海峡両岸関係協会(中国)の協議で中台間で金融関連のMOU締結を希望している。MOUが締結される前の段階では、MOUが不必要な項目の開放を積極的に推進していく方針だ。