ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム 会社概要 採用情報 お問い合わせ

コンサルティング リサーチ セミナー 在台日本人にPR 経済ニュース 労務顧問会員

《新型肺炎》海軍艦船で24人集団感染、市中感染リスク高まる(トップニュース)


ニュース 社会 作成日:2020年4月20日_記事番号:T00089494

《新型肺炎》海軍艦船で24人集団感染、市中感染リスク高まる(トップニュース)

 太平洋の友好国パラオ親善訪問から9日帰台した台湾海軍の敦睦遠航訓練支隊で、新型コロナウイルスの台湾最大規模の集団感染が発生した。20日時点で24人の感染が確認されている。同隊に参加した軍人と士官学校の実習生ら700人余りは15日に下船し、台湾各地に帰還していたため、乗組員との接触者は3,000人近くに上る。高雄市など全土約90カ所(https://bit.ly/2xyUgs3)に感染者が立ち寄ったことが判明しており、市中感染の懸念が再び高まっている。中央社電などが伝えた。

/date/2020/04/20/00palau_2.jpgレイノルド・オイロー・パラオ共和国副大統領兼司法大臣(右7)との記念撮影(在パラオ大使館リリースより)

 同隊に参加した3艦船のうち「磐石号(337人乗船)」に感染者が集中している。同船は、2月21日に乗組員が乗船、3月5日に出航し、12~15日にパラオに寄港した後、4月9日に高雄市の左営軍港へ帰還した。検疫規定を満たすため、パラオ出航から30日たつまで船内待機した後、乗組員は15日に下船、各地へ帰宅した。このうち、3人が市中の医療機関を受診し、18日に感染が確認されたため、急きょ3艦船の乗組員計744人に対しウイルス検査を実施した。感染確認者以外は、集中検疫所など7カ所で検疫を受けている。

 最初に感染が判明した20代男性(第396例)は、待機期間中の13日に医官に頭痛を訴えたが、発熱がなく、一般の風邪と診断された。第397例の20代男性は、4月初めから症状があったが報告していなかった。

 海軍は出航について、感染症対策本部の中央流行疫情指揮中心(中央流行疫情指揮センター)に連絡しておらず、下船時の検疫も十分でないなど問題点が指摘されている。蔡英文総統は19日、国防部に対し、指揮センターのガイドラインと規定の順守、防疫管理強化と再発防止を指示した。

/date/2020/04/20/00top_2.jpg高雄市の海軍施設の周辺でも消毒作業が行われた。写真は前年の敦睦遠航訓練支隊(中央社)

 指揮センターは、パラオでの感染かどうかも含め、感染経路は調査中と説明した。パラオでは感染者は確認されていないが、島しょ国で検査体制が不十分なため、実際は感染者がいる可能性がある。

 また、船内で早期に感染が広まり、治癒している人員がいる可能性もあるとみて、船内での受診歴がある乗組員のうち、5人について血液中の抗体検査を行ったところ、このうち3人から感染していたことを示す抗体が検出された。抗体検出での感染判明は、感染確認者には含めない。

同時滞在で警告メール

 指揮センターは20日午前、感染が確認された海軍親善部隊の24人が、15~18日に15分以上滞在した▽台北市▽桃園市▽新竹県▽苗栗県▽台中市▽嘉義市▽台南市▽高雄市▽屏東県──の約30エリアに、同時刻に滞在した市民に対し、携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)で警告メールを送付し、自主健康管理(手洗い、外出時のマスク着用、公共の場所への出入り自粛など)と、症状がある場合の防疫ホットライン(電話番号1922)への通報を呼び掛けた。送付対象者は約21万人に上った。

 指揮センターは20日午後、全土約90カ所の公共の立ち寄り先を示した地図(https://bit.ly/2xyUgs3)を新たに公開し、滞在した市民に対し自主健康管理などを呼び掛けた。

 また、下船した乗組員と接触した家族や友人計2,000~3,000人には、19日にSMSを送付した。

 感染者24人の内訳は▽台北市、1人▽新北市、1人▽基隆市、1人▽桃園市、2人▽台中市、3人▽雲林県、1人▽嘉義市、1人▽台南市、1人▽高雄市、9人▽屏東県、4人──。感染者との接触者は計255人で、このうち177人が14日間の外出制限「居家隔離」、78人が自主健康管理の対象となっている。

士官学校は休校

 実習生を送り出した国防大学復興崗キャンパスの政治作戦学院(台北市北投区)は、感染者の学生2人が約1時間滞在したものの、感染リスクは低いと明らかにした。同学院は20日から2週間休講する。海軍軍官学校(高雄市左営区)も同様の措置を取る。

感染者、累計422人に

 18~20日の感染確認は、▽18日、海軍親善部隊3人▽19日、海軍親善部隊21人・米国からの輸入症例1人▽20日、カナダからの輸入症例および米国・スペインからの輸入症例の計2人──。

/date/2020/04/20/1corona_2.jpg

 台湾での感染確認者は、累計422人(うち死亡6人)となった。このうち、海軍親善部隊での集団感染が24人、輸入症例が343人、台湾での域内感染が55人。これまでに203人が隔離を解除された。

【図】